嗤う女 小説一覧
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9件
1
腐る女
家賃と仕事の都合で住まいを失いかけた篠原未央は、SNSで見つけたルームシェア募集に飛びつく。
四〇三号室で迎えたのは、痩せた身体に穏やかな笑みを浮かべる女、三浦莉乃。親切な同居人、整った部屋、差し出される化粧水と温かなスープ。
助かったはずの暮らしは、排水口に絡む黒い髪、枕元に残る異臭、肌に走る小さな違和感から少しずつ歪み始める。
この部屋で腐っているのは、いったい何なのか。
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文字数 35,423
最終更新日 2026.05.14
登録日 2026.05.09
2
裂く女
「サキメって知ってる?」
大阪府K市の府立K西高校で、そんな噂が囁かれ始める。三ヶ瀬旧道に現れるという、枝切ばさみを持った女。三人以上で誰かの悪口を回すと、まず物が裂け、やがて本人が裂かれる――。最初はただの都市伝説だった。けれど、教室の笑い、スマホのスクショ、何気ない陰口が重なった時、噂は現実の輪郭を持ち始める。三ヶ瀬橋、裂けたノート、消えていく生徒たち。誰が呼んだのか。誰が見ていたのか。学校という日常の中で、逃げ場のない恐怖が静かに口を開ける。
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文字数 176,253
最終更新日 2026.07.02
登録日 2026.06.04
3
絡み憑く女
小説投稿者の「僕」は、自作『桜埋葬』を完結させた夜、桜影という読者からDMを受け取る。作品を深く読み込んだその言葉は、嬉しさと同時に、奇妙な近さをまとっていた。
返信を重ねるうち、桜影は少しずつ作品の外へ踏み込んでくる。読者の感想だったはずの言葉は、僕の生活、視線、記憶にまで触れ始める。
画面の向こうにいるはずの女。日常の中で目に残る女。別々だったはずの二つの気配が、いつしか境目を失っていく。
見ていたのは自分か。見られていたのは自分か。物語を投稿し終えた日から、女は僕の生活に絡みついていた。
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文字数 69,435
最終更新日 2026.07.02
登録日 2026.05.15
4
すれ違う女
健康診断をきっかけに、夜の散歩を日課にした男。
いつもの遊歩道が工事で塞がれていた夜、彼は何気なく一本外れた脇道へ入る。
そこで、俯いたまま歩いてくる一人の女とすれ違った。
ただ、それだけのはずだった。
翌朝、時間を変えてもまた会う。
道を変えても、帰り道を外しても、また前から来る。
服は違う。場所も違う。なのに、あの女だと分かってしまう。
しかも女は、男しか知らないはずのことを、少しずつ口にし始める――。
見間違いか。偶然か。
それとも、自分だけが壊れ始めているのか。
逃げるように相談へ向かった先で、男はついに“客観的な証拠”を手に入れる。
だがそれは、安心ではなく、もっと逃げ場のない恐怖の始まりだった。
一度すれ違ったら、もう元の道には戻れない。
夜道が怖くなる、じわじわ侵食型の心理ホラー。
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文字数 7,838
最終更新日 2026.04.11
登録日 2026.04.07
5
手を振る女
通勤の近道にある古い踏切で、男は“手を振る女”を見かける。白いブラウスに紺のスカート、薄笑いのまま、ゆっくりとこちらへ手を振る女。だが妙なのは、女の視線が男ではなく、男の背中の向こうを見ていることだった。思わず振り返っても、そこには誰もいない。
翌日も、同じ時刻。女は少し近い場所に立ち、同じように手を振る。警報機が鳴るのに電車が来ない。踏切の点滅が頭の奥に残り、現実の音まで狂い始める。靴底にこびりつく“黄色い粉”。鳴っているはずのない警報機のリズム。逃げようとしても、なぜか足が踏切へ向かってしまう。
手を振っているのは、いったい誰に向けてなのか。踏切の向こう側に立つ女が、笑いを深めるたびに、男の日常は静かに狭く、確実に追い詰められていく。
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文字数 2,795
最終更新日 2026.02.16
登録日 2026.02.16
6
映る女
写見坂の商店街にある影見堂写真館で働く高坂灯花は、就活用証明写真のプリントに、撮影時にはいなかった女の影を見つける。元データにも防犯カメラにも映らないその女は、紙の写真の中にだけ現れ、被写体の身体へ不可解な異変を残していく。証明写真、家族写真、遺影、古い記録写真。日常のために残された一枚が、少しずつ現実を侵食していく。写真を見なければいいのか、捨てれば助かるのか。灯花は店主・矢崎とともに、影見堂に染みついた過去と、写真の中で笑う女の正体へ近づいていく。
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文字数 53,423
最終更新日 2026.06.03
登録日 2026.05.28
7
嗤う女
あなたは、物語を読んでいる側だと思っている。
覆面作家FSの新作『裂く女』が、進行中の現実の事件と、不気味に重なり始めた。確認のため、編集者たちは作家の家を訪ねる。出てきたのは、穏やかに言葉を選ぶ、ごく普通の女だった。
お茶を一口。世間話を少し。インタビューは和やかに進む。
——その時にはもう、誰も部屋から出られなくなっていた。
怪異の話だと思って読み進めたあなたは、最後のページで気づく。怖かったのは、化け物ではなかったと。
連作怪異譚、最狂の到達点。
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文字数 43,632
最終更新日 2026.07.09
登録日 2026.07.04
8
覗く女
単身赴任で東京に来て一か月。二月三日の夜、主人公は終バスに間に合うよう、終電一本前の電車に飛び乗る。発車間際、慌てて乗り込んできた女のせいでドアが閉まりきらず、遅れが生まれる。苛立ちと疲れの混じった舌打ち。たったそれだけの瞬間が、なぜか胸の奥に引っかかった。
帰宅後、マンションの掲示板には節分のチラシが貼られている。だが、当日なのに妙に薄汚れていて、何年も前からそこにあるように見える。気味の悪さを振り払い、鍵を掛けて眠ろうとするが、深夜2時12分を境に部屋の空気が変わる。
一度きりの無言電話。廊下の気配。玄関のノック。言葉にならない独り言が、息のように続く。確かめたいのに、確かめるほど近づいてくる。やがて、玄関脇の小さな換気窓――閉めたはずの小窓が、わずかに開いていることに気づく。
隙間の向こうには、顔ではなく“眼”だけがある。こちらを見ている。確実に、見ている。節分の豆、薄汚れた紙切れ、止まったような時刻。日常の小さな道具が、どれも役に立たないまま恐怖だけが積み上がっていく。
それでも主人公は、この夜をやり過ごせば終わると信じようとする。だが「2時12分」は、次の夜も、その次の夜も、同じ形で訪れる。覗く女が近づいているのか、それとも自分が何かを招き入れてしまったのか――その境目が、少しずつ壊れていく。
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文字数 7,988
最終更新日 2026.03.19
登録日 2026.03.12
9
隣に座る女
左隣の席は、空いているんじゃない。次を待っている。
異動初日、白石真帆が案内されたのは、左隣だけがぽっかり空いた席だった。机の奥には意味不明の紙が貼られ、午後三時になると、そこに見知らぬ女が座る。誰もその女を認識せず、席の前任者の記憶だけが曖昧に抜け落ちていく。会社、病院、喫茶店、自宅。逃げても“左隣”は空き、女は少しずつ真帆の顔と居場所を奪っていく。最後にその席へ座るのは誰なのか。日常の椅子一つから始まる、救いのない継承ホラー。
感想数 0
文字数 27,558
最終更新日 2026.04.28
登録日 2026.04.24
9件