母娘確執 小説一覧

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『皇后を殺したのは寵妃様です。下級宮女の私は犯人を知っていますが、姉を殺され、母に売られたので後宮ごと地獄に落とします』

『皇后を殺したのは寵妃様です。下級宮女の私は犯人を知っていますが、姉を殺され、母に売られたので後宮ごと地獄に落とします』
後宮最下層の下級宮女・鈴花は、ある夜、見てはいけないものを見てしまう。 皇后の薬湯に毒を入れたのは、皇帝最愛の寵妃・玉蘭妃だった。 だが、鈴花は何も言えない。 玉蘭妃は皇帝の寵愛を一身に集め、女官長も医官も宦官も、すでに彼女の手の内にある。 翌朝、皇后は死に、罪を着せられたのは鈴花を妹のように守ってくれた上級女官・明霞だった。 「私はやっていない……鈴花、お願い、忘れないで」 明霞は拷問の末に自白させられ、処刑される。 しかも死の間際、彼女は鈴花に謝った。 「ごめんね。私も最初は、あなたを利用するつもりだった」 信じていた姉代わりの女官も、自分を道具として見ていた。 さらに鈴花を後宮に売った実母は、玉蘭妃の手先として現れる。 「余計なことを言うんじゃないよ。お前ひとりが死ぬだけじゃ済まないんだ」 母に売られ、姉に利用され、犯人には脅される。 味方など、どこにもいない。 そんな鈴花の前に現れたのは、後宮監察を担う若き宦官・黎星。 彼は鈴花を救う代わりに、冷たく告げる。 「お前の目が必要だ。皇后毒殺の証人として、俺に使われろ」 助けてくれた男でさえ、鈴花を人ではなく証拠として見ていた。 けれど鈴花は、もう泣かない。 下級宮女は、誰にも見られていない。 だからこそ、すべてを見ている。 妃の衣に残った香。 薬湯の器に沈む銀の曇り。 夜半に門を通った宦官の足音。 女官たちの嘘。 皇帝の見て見ぬふり。 そして、寵妃の美しい微笑みの裏に隠された偽りの懐妊。 皇后を殺したのは玉蘭妃。 だが、皇后を殺せる後宮を作ったのは、そこにいる全員だった。 鈴花は決める。 叫ばない。 許しを乞わない。 正義を語らない。 ただ、後宮の奥に腐り落ちた罪を、一つずつ暴いていく。 「私は下級宮女です。妃様方の嘘を聞く耳も、床に落ちた証拠を拾う手もございます」 犯人は分かっている。 でも証拠はない。 そして犯人も、鈴花が見ていたことに気づいている。 毒と密告、裏切りと偽りの寵愛が渦巻く後宮で、名前もなき宮女の復讐が始まる。
ファンタジー 連載中 長編
文字数 96,727 最終更新日 2026.06.17 登録日 2026.06.15
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