浮気夫への復讐 小説一覧

1
1

出張中の夫が、秘書と温泉で甘いデートをしていた

出張中の夫が、秘書と温泉で甘いデートをしていた
 夫は、仕事一筋の人だった。  結婚して同じ家に暮らしているはずなのに、顔を合わせる回数は数えるほどしかない。結婚前に約束した新婚旅行さえ、出張を理由に何度も先延ばしにされた。  今回は、もう夫を待たなかった。私は一人で月白温泉郷へ向かった。  連れ立って歩く観光客の間を一人で歩きながら、何気なくインスタを開く。すると、夫の秘書である白石寧々が投稿したばかりの写真が目に入った。  写っているのは、まさに私がいる温泉街だった。  キャプションには、こう書かれていた。  「某氏が撮ってくれた今回の写真、前に海で撮ったものより上手かも。褒めてあげよう」  深く考える間もなく、聞き慣れた声がすぐ近くから聞こえてきた。  「もう少し角度を変えてよ。こっちからのほうがきれいに見えるから」  「嘘つけ。どの角度から撮ってもきれいだろ」  顔を上げると、出張中のはずの夫がカメラを構え、真剣な表情で寧々を撮影していた。  私はスマートフォンを取り出し、二人の姿を写真に収め、そのままインスタへ投稿した。  「旅先で偶然お会いしました。どうか末永くお幸せに」  すぐに夫から電話がかかってきた。  「寧々は写真を撮ってほしいと言っただけだ。どうしてわざわざ誤解を招くような投稿をするんだ?」  「今すぐ消せ。家に戻って待っていろ」  私は月白温泉郷を離れる特急列車の中で、小さく笑った。  「それは無理」  「どういう意味だ?」  「私が買ったのは、家に帰るための切符じゃないの」  ……
キャラ文芸 完結 短編
感想数 0 文字数 13,565 最終更新日 2026.07.25 登録日 2026.07.25
1