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お嬢さまは何もなさっていません。わたくしども使用人が見ておりました

伯爵令嬢ロザリンドさまが、王太子殿下から婚約破棄を言い渡された朝。 わたくしども屋敷の使用人は、その一部始終を見ておりました。 料理長は厨房の窓から。馬丁は馬車の陰から。門番は門の内側から。洗濯女は物干しの向こうから。庭師は薔薇の垣根の隙間から。執事は扉の脇から。そして侍女頭のわたくしは、お嬢さまの三歩後ろから。 お嬢さまは、何もなさっていません。 ただ毎朝わたくしどもの名前を呼び、仕事を見ていてくださっただけです。 殿下のお隣に立った男爵令嬢さまは、この屋敷に三十回はいらしたのに、わたくしどもの名前を一度もお呼びになりませんでした。 「そこの女」「おい」――それだけです。 だから、証言の日にお答えするのは、わたくしどもです。 これは、お嬢さまが一言も語らない、お嬢さまのお話です。
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感想数 0 文字数 1,704 最終更新日 2026.09.14 登録日 2026.09.14
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