「南雲」の検索結果
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大地の傷
鈴木日向
第1章:目覚めの断層
研究室の窓の外に広がる東京の空は、異様に白く霞んでいた。
セミの声すら、どこか濁って聞こえる。8月初旬。例年にないほど湿気を含んだ空気が都市を包み、ビルの隙間を這うように漂っている。
南雲隼人(なぐも はやと)、43歳。東京理工地震研究所の主任研究員だ。
彼は、無人のモニター室で一人、じっと画面を見つめていた。
「……また、か。」
画面には、宮城県沖に設置された独自の高感度地震計の波形が表示されている。
ごく浅い地点で、連続する微小地震。人間には感じ取れない小さな揺れが、ここ数日だけで140回を超えていた。だが、気象庁の震度計では一切検知されていない。
震源の深さ、11km。
プレート境界に溜まるストレスが、かすかに"ささくれて"いる。そんな異様な感触が、波形データのノイズに混じっていた。
彼はファイルを開き、観測ネットワーク上の他地点の記録を確認する。
駿河湾、紀伊水道、根室沖、奄美大島周辺……。
「地震活動が、全方位から中心に向かって集まってきている。」
まるで何かが、内側で蠢き始めているような。
断層が呼応しているよう
文字数 45,730
最終更新日 2025.05.31
登録日 2025.05.31
金で呼べる全知全能のギャル、金で黙る最強の筋肉。経済学部生、借金まみれの異世界冒険者パーティを経営します!
【本文】
大学の講義と塾講師のバイトに追われる日々を送っていた南雲恭介(20)は、公衆電話に入った瞬間、剣と魔法の世界へ転移してしまう。
彼に残されたのは、なぜか黒電話の回転ダイヤルが埋め込まれた「スマホ型ユニークスキル」【電話】。
このスキルは、情報に特化したJK風の友人ユア(月額50金貨=50万円)や、金貨一枚で3分間無双する超人ガイマックスを召喚できる、究極の「有料(課金)チート」だった。
ユアに月50万円という法外な借金を背負わされ、恭介は泣く泣く冒険者稼業を始めることに。
彼のパーティは、飯のためなら命を懸ける最強の虎人族ワイガーと、世界樹の杖を持ちながら方向音痴で魔法が暴発するエルフの次期女王候補マリアという、実力は高いが燃費とトラブル率が最悪のメンバーばかり。
「コストパフォーマンス」こそが命綱。恭介は現代の経済学を駆使し、暴走する仲間と高額な通信料をやりくりしながら、異世界で成り上がっていく!
――これは、課金(金)と愛(飯)で全てを解決する、借金持ちの司令塔物語!
文字数 96,328
最終更新日 2025.12.07
登録日 2025.11.24
