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幼い頃に抱いていた、性にまつわる様々な勘違いについて書いたエッセイ。
幼稚園の頃、僕は男女の違いをちんちんの有無や力仕事・家事の役割分担くらいにしか思っておらず、赤ちゃんはコウノトリが運んでくるか、母親一人で作れると信じていた。初めて勃起した時も何が起きたのか分からず、ただ笑っていた。
小学生になっても、男女がキスすれば子供ができる、裸でベッドに入れば子供ができる、大人のちんちんにモザイクがかかるのは毛が生えて汚いからだと本気で考えていた。精子の存在を知ってからもおしっこと同一視し、男女のおしっこを混ぜれば試験管の中で赤ちゃんが育つと空想していた。
知識も実感もない無垢な子供だからこそ生まれた、真剣で愉快な思い違いの数々を振り返る。
文字数 3,715
最終更新日 2026.07.18
登録日 2026.07.18
本社人事の“火消し屋”として働く私は、統合プロジェクトの責任者として子会社へ常駐するよう命じられた。スローガンは「雇用を守るための統合」。――けれど赴任初日、私が見つけたのは“片道三時間・期限二週間”の勤務地強制テンプレ。家庭持ちを狙い撃ちにして辞めさせる、実質退職の設計書だった。
現場では、共働きの夫婦が「私が辞める」と言い出し、夫が初めて怒って泣いていた。私は火消し屋だ。誰かを守るために、誰かを切る仕事もしてきた。だからこそ言った。「辞めないで済む道は作る。でも、あなた達にも戦ってほしい。声を上げないと、都合のいい数字にされるから」
そんな夜、子会社社長の不倫疑惑が週刊誌に出た。ホテル密会写真。火消しのため社長に張り付く私を、現場叩き上げの彼は冷たく突き放す。「本社の犬か?」――だが写真の裏にあったのは、不倫ではなく“保護”だった。社長が匿っていたのは、会社の闇を握る男性告発者。潰されかけ、経歴ごと消される寸前の人間を、彼は自分が汚れる覚悟で救っていた。
本社は告発者にパワハラの濡れ衣を着せ、部下の新人に「守秘義務違反で潰す」と脅して証言させる。匿名通報が量産され、「新人は告発者とつながっている」という空気が社内を支配する。さらには社内チャットが切り貼りされ、私まで“共犯”に仕立て上げられた――「あなたも同じ側ですよね」。孤立した私の前に届いた、切り貼りではない全文。「あなたも同じ側ですよね。――守る側に立つなら、これを見てください」添付されていたのは、あの勤務地強制テンプレだった。
恋愛禁止条項を運用してきた私が、守るためにルールを破る側へ回る。社員を守ろうとする社長と、ルールを武器に人を切る本社人事部長。雇用を守る顔をした統合の裏で、恋は噂になり、噂は刃になる。それでも私は決める。守る側に立つ。――守りながら恋をするために。
文字数 143,793
最終更新日 2026.01.24
登録日 2026.01.22