「実戦」の検索結果

全体で53件見つかりました。
1
 田沼意次の孫にあたる大塩門下生・意義は人斬りのカイに狙われる。カイの手腕に興味を持った意義は、大坂で私塾を開く大塩平八郎に引き会わせる。もと与力で正義漢の平八郎は、天保の大飢饉への幕府の対応に義憤を感じていた。大坂町奉行の跡部が飢餓対策どころか鴻池屋など豪商と結託して米の値段を吊り上げていたのだ。そればかりか、大坂のなけなしの蔵米が将軍へのご機嫌とりのため江戸に廻されることになる。実力行使もやむなしと蜂起の準備を進める大塩一党。カイも無学ながら平八郎の教えに感化されていく。一方平八郎の密命を受けた意義は、江戸相良藩邸へ向かい、幕府の役人でもある兄・意留に建議書を幕閣に届けるよう依頼していた。  大坂に決起の日が来た。計画は跡部の暗殺のち蜂起、のはずだったが脱走者からの密告によりあえなく暗殺は中止。準備不足のまま、木製の大砲を主戦力に据え大坂の豪商宅を次々と襲撃していく。最初は25名だった叛乱軍も、農民や大坂市民が追随していき三百名を超える集団へと膨張していく。その様は米を求めて突き進むネズミの大群。 ことは順調に進むかに見えたが、幕府側も面子をかけて実戦部隊と最新兵器を投入。物量作戦により大塩叛乱軍はわずか半日で鎮圧された。  地下に潜り、意義に託した建議書に望みをかけるも、それすら幕府内の権力争いの道具にされる。さらには、身内を捕縛され追い詰められた平八郎と養子の格之助は爆薬を使って自決する―というのが史実なのだが、実はこの自決こそが次なる叛乱への布石であった。
大賞ポイント 11pt
文字数 32,864 最終更新日 2024.05.31 登録日 2024.05.31
1