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再会
私は今日或る人に出逢った。。彼女の名は京子という。昨年の三月に卒業した高校の同級生である。お京という名が彼女の通り名である。
「おはよう」
「おはよう」
二人は久しぶりの再会で言葉が上手く出ない。空から粉雪が突然振り降りてきた。
「雪だー」
「うん、雪だね」
さりげない京子のしぐさが健太の心を一陣の風が吹き抜けていくように突き動かした。何か喋らなくてはならない。健太はおもむろにタバコをポッケットから取り出し、火をつけた。すうーとたばこの煙を鼻から出した。京子が笑う。
「まるで、煙をだす龍だね。可笑しいわよ。フフフ」
「笑ったりするなよなー。このやろう!」
「このやろうだって!女には野郎じゃなくて、海女って言うのよ。知らなかったの?」
「そうなんだ」
「フフフ・・・」
喋る筈が黙り込むしかない健太だった。今度はタバコを煙一杯吸い込んで鼻からではなく、口から吹き出す健太。
「ところでサー、コウジとユミにあった?あいつら結婚するってよ。子供ができちゃたって。まだ若いのになー。どう思う?」
「いいんじゃない。二人は両想いなんだから」
「それもそうだな。・・・」
粉雪がボタン雪へと変わった。この調子だと積もりそうだ。九州にしてはそうめったにないことである。この街久留米は福岡にあり人口は約三十万程度である。市町村合併して人口が増えた事になる。福岡では博多、北九州につぐ都市といっても過言ではないだろうか。京子とぼくはこの久留米市で生まれ育った。昔よく百年公園でデートしたものだった。まあ、デートといっても二人で公園のベンチに座ってよく話しをしただけだった。手を握った事もなく、ましてやキスをする事などなかった。小学校は別々の学校だったが中学、高校と同じ学園で六年間を過ごした。
「お前どこの大学だったっけ?」
「中村学園。保育士になるのが私の夢なの。それに親元を離れられるからね。あんたは?」
「俺は西南。外国語学部英語科ってやつ。商社かなんか、英語を生かせる職業に尽きたいからね。まあ、今のところは白紙に近いと言えばそうなんだけど。・・・」
「あんた、頭良かったからね。特に英語はいちばんか、二番だったもんね」
「一番だよ。高校のときの通信簿を見せたっていいぜ」
「そんなものまだ持ってるんだ。フフフ・・・」
またしても黙り込むしかない坂口健太、・・・僕の事だ。
久留米でも超有名なこの学園は福岡一円から優秀な生徒が集まってくる。中には東京大学、京都大学へと進む学生もいる。九州大学には四十人程度が進学する。そんな中でぼくが西南学院大学に決めたのは理数系の勉強が出来がよくなかったからであり、京子は実力があるのに九大に行かなかったのは、自由で伸び伸びとした大学生活を送りたかった為だ。勉強で忙しい学生生活を送りたくはなかったのだ。
文字数 19,239
最終更新日 2021.09.27
登録日 2021.09.27
進学のために地元の沖縄の高校を卒業し、福祉系の専門学校に入学することになった梨沙(りさ)は、1つ年下の麻琴(まこと)に別れを告げる。しかし、麻琴は次の年、必ず東京の大学に合格するからと言いサヨナラを固辞した。成績も中くらいの麻琴は東京のCランク位のテキトーな大学を目指す。
初夏のある日、予備校の自習室で勉強していると、隣にいた同学年で別の高校に通う千鶴(ちづる)に突然、告白される。
彼女の目指している大学は東京大学理科三類。東大医学部で脳生理学を学びたいという。
麻琴は千鶴と付き合うことを激しく拒否したが、高校卒業までの期限つきで、キスなし、お触りなし、色んな事なしの条件で交際することになった。
GWになって、梨沙を驚かせようと密かに東京に上陸した麻琴は梨沙の新しい彼氏の存在を目撃する。失意の内に帰郷した彼は千鶴に全てを話し、梨沙への反抗するために、東京大学を受験すると言い出す。
しかし、千鶴は女として付き合っている彼女として許せないと、自身は京都大学医学部受験へと方針転換する。そして、冬。共通テストを受験した千鶴は予定通り京都大学医学部に願書を出した。
麻琴は、東京大学に願書を出すと思いきや、京都大学法学部に願書を出す。
二人は合格するのか?
また、京都大学受験日の直前に現れた、梨沙の真意は?
沖縄、東京、京都、三つの都市で繰り広げられる恋模様。
文字数 47,801
最終更新日 2020.03.28
登録日 2020.03.15
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