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11話
しおりを挟む雄介はタリアと迎えに来た衛兵たちに連れられ、王が待つという部屋に向かった。
なんだか来た時より一層警戒されている気がする。
横目でちらっとタリアと目を合わせると、タリアも緊張しているようだ。
――こりゃあいい予感がしないなあ。
雄介が兵士たちに連れられて大きな扉の前まで行くと、そこにルナさんが立っていた。
「お待ち致しておりました。中で女王陛下がお待ちです」
「ルナ様、私も一緒に――」
横から口を挟んだタリアの言葉にルナは首を横に振った。
「いえ、タリアはここでお待ちなさい。さあ勇者様、参りましょう」
兵士長であるタリアは呼ばれでもしない限り女王に拝謁できる身分ではない。
悔しそうに唇を噛んだタリアは心配そうな眼差しで雄介を見つめる。
――そんな顔するなって。大丈夫だからさ。
雄介は内心そう呟きつつ、ニコッと笑ってタリアにウインクをして見せた。
「勇者アシガラ・ユウスケ殿がお着きになりました――」
先触れと共に扉がゆっくりと開き、ルナが先導して入っていく。
雄介はそれに続いた。
――女王様だか何だか知らねえけど、男だからって舐められてたまっかよ!
「面を上げよ」
両側にずらっと居並ぶ家臣たちの間を通り、ルナさんを真似てひざまずいた俺の頭上から声がした。
チラッと横目でルナさんを見て、かすかに頷いたのを確認して顔を上げる。
壇上に立派で巨大な椅子があり、そこにドレスを纏った豪華な金髪美女が座っていた。
この人が女王様で間違いなさそうだ。
その両脇にも女の人が一人ずつ立っている。
向かって右には軍服を着た長い黒髪の美女。
軍服って言ってもタリアが着ているのより断然豪華な所を見ると偉い人なんだろう。
左側にはやたら露出の高いセクシーなドレスを着た赤い巻き髪のお姉様。
赤いルージュを塗った唇が肉感的だ。
「ヴァレリア国王、レズリス3世陛下であらせられる」
黒髪軍服美女が張りのある声で言った。
それに椅子に座った女王様が続く。
「わらわがレズリスじゃ。そちが召喚された勇者か」
「はい、足柄雄介と申します」
「ふむ、まことに男のようじゃな。本当にそなたが勇者なのか?」
女王様は冷たい眼差しで聞いてくる。
知らねーよ、俺勝手に呼び出されただけだし。
本当はそう言いたいところだが、ここはキレちゃダメなところだろう。
「分かりませんが、ステータスを見るとそうなっていました」
「ほう、ステータスを見る事は出来るのか。なるほどのう、ベルモアどう思う?」
「そう簡単に信じる訳には行きませんですわねぇ。いろいろ調べてみませんと」
ベルモアと呼ばれた赤髪セクシーお姉さんが面白い物でも見るかのように俺の顔を見る。
なんだよ、なんか文句あんのかよっ!
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