3
件
梅雨明け間近の蒸し暑い夜、小さなバーを営む主人・三島陽介の前に、一人の謎めいた男が現れる。男は「失われた酒」を求め、古びたスーツに身を包んだ姿で、静かに酒を嗜む。やがて彼のグラスが忽然と消えたのをきっかけに、店では次々と物が消えていく不可解な現象が起き始める。
最初はただの錯覚か紛失だと思っていた陽介だが、グラス、ボトル、ライター、時計——小さな“喪失”が積み重なり、不安は確信へと変わる。やがて、再びあの男が店に姿を現し、前回とまったく同じ言動を繰り返し始める。
これは偶然か、それとも必然か。男の正体と「失われた酒」の意味、そしてこの店に起きている奇妙な現象の真相とは——。
文字数 10,641
最終更新日 2025.05.19
登録日 2025.05.19
東京の片隅に佇む古びたアパート「菊乃荘」。そこに住む主人公・片瀬達也は、出版社で働く地味なサラリーマン。ある日、上階から聞こえる不気味な物音と、奇妙な噂——「住人が忽然と消える」という話に直面する。
彼の上の部屋に住んでいたはずの「三浦」という男。しかし翌日、大家に尋ねると、その部屋は半年も空室だと言われる。混乱する達也は部屋を確認しに行くが、そこには生活の痕跡もなく、ただ中央に黒い染みと謎の手形だけが残されていた——。
静寂の中に潜む異常と、人知れず消えていく存在。達也は次第に、アパートに隠された恐ろしい真実へと巻き込まれていく。
文字数 7,942
最終更新日 2025.05.19
登録日 2025.05.16
主人公は東京・西片町の古びた下宿「田中屋」、通称「猫屋敷」での新生活を始める。そこは猫だらけの不思議な下宿で、住人たちもどこかクセがある。中でも黒猫が主人公の部屋に現れ、まるで人間のように振る舞うことに違和感を覚える。
ある夜、黒猫が人語を話すようになり、下宿に「秘密」があること、そしてその秘密に深入りすれば危険であると忠告される。やがて、以前この部屋に住んでいた人物が不可解に失踪したことを知り、その人物も猫と会話していた形跡があると語られる。
黒猫の導きで、主人公は深夜の裏庭へと誘われ、不自然に盛り上がった地面を発見。そこには何かが埋まっている様子だったが、掘り起こそうとした瞬間、下宿の大家が現れる——。
文字数 8,155
最終更新日 2025.05.16
登録日 2025.05.16
3
件