Doma

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恋愛 連載中 長編
この世界は、「水槽」みたいだーーー。 水草も石も何も無い教室の金魚鉢を眺めながら、僕はそう思った。 その金魚は、僕の哀れみなんて知らずに当たり前のように、ひらひら泳いでいる。そうやって、エサをもらってパクパクしながら、一生を終える。 「何、じっとそんなの見て」 酸素ボンベから溢れるあぶくのように尽きず湧き出ていた僕の悩みに割って入って、彼女はそう言った。 理解しがたい。自由で、軽く、遠い姿。 「抜け出すだけなら簡単だよ。冒険すればいい」 冒険。その意味が分からない。気付けば、僕は先行く君の背を追っていた。
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小説 40,145 位 / 231,958件 恋愛 17,051 位 / 66,942件
文字数 93,279 最終更新日 2026.09.19 登録日 2024.08.02
ファンタジー 連載中 長編
 森の中に住まうことをどうして先祖たちは選んだのだろう。  ゲライオス〈老いたる者〉たちはいくつかに分かれ、知恵や知識の根を支え教えるために少年少女たちは彼らについて育つ。  オルビオスとクァルマの二人は疑問を深めては仲間に導き入れるサヴェ〈智慧〉の祝福に与っており、老いたるサヴェ〈智慧〉イプセと共に暮らしていた。  オルビオスは不思議に思っていた。「親」や「兄弟」といった言葉すらない、特殊なこの森の中の世界を。しかし当たり前のように皆は日々を送る。    自分たちは何も知らない。先祖は何故ここを住処としたのか。どこから来たのか。どこへ行くのか。何のために。何も応えぬ森に、そうした問いは押し籠められる定めにあると、時代は紡いできた。  しかしサヴェ〈智慧〉はいつからかその問いに立ち向かってきた。二人は少しずつ知っていく。森の民であることの宿命と、その意志の高まりを。
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小説 231,958 位 / 231,958件 ファンタジー 54,538 位 / 54,538件
文字数 31,356 最終更新日 2026.09.13 登録日 2024.08.13
青春 完結 長編
 「もっとも幸福な一日」とはなんだったのだろう。愛する人との恋が成就した日、積年の努力が実った日、結婚した日、子供が生まれた日、いろんな日があるかもしれない。    主人公である「僕」にもそんな一日があった。それは何でもないような日の一部、もっとも幸せだったころのある一日だった。小学生の頃、まだ元気なお母さんがいてお父さんがいて、優しいおじいちゃんやおばあちゃんがいて、何気ない友達がたくさんいて、何より「君」がいたあの日、特別なことには花火大会がその街で行われた。  始まるまでの朝も昼も「君」と過ごした。行かねばならない学校にも初めて行かないでいつも新しく現れる世界との出会いに心を震わせながら、初めに「君」に引かれた手と足で時に「君」を導い て、自由に走り回ったあの時の街。終わることを恐れたその夜。花火が上がり、そして散った。  すべてが、もう遠い。  「僕」はあのもっとも幸せだった日からだんだらと伸びた、傾く日に映される長い影の日々を送っている。そしてそれも今、夜の闇に呑まれようとしている。  あの日々、あの日もっとも生が強く放った輝きも、「君」もどこにもないのか、もう何もかも遅いと思われた「僕」は奔走する。その果てには何があるのか、あの日を求めて——。  
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文字数 88,460 最終更新日 2026.08.04 登録日 2024.07.31
ファンタジー 連載中 長編
 ある小さな港町で、船大工の小僧として雇われていた少年ニールは、日々いろんなことに悩んでいた。 「何でこんな下働きばかりしてる」 「これが何の役に立つんだ」 「俺はこんなことをしているべきなのか」  ほとんどため息のような悩み。それだけでなくとも、いろんなことがニールには気になって、仕事はいつまでも叱られてばかり。      何か偉大なことをしてやろうだとか、金持ちになってやろうとも思わない。だが、何か。  どこに手を伸ばせばいいのかも分からず、ただ空を眺める。海風ばかりが物言いたげに彼の髪をなびかせた。
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文字数 12,762 最終更新日 2026.07.24 登録日 2026.06.19
現代文学 連載中 長編
 伝え聞く話。私が心を傾け、やがて耳を傾け、全てを捧げようとした聖人の道を通ったかつての人々はどうか。みなそれぞれ、生まれたときから、そう宿命づけられていたかのように類まれな才と同時に謙虚さ、慈悲をもあわせ持ち、不正と争いを嫌い、慎ましく、いかなる欲も悪しきものと払いながら、しかも人々の欲に向かうさまに微笑みと、過ぎるならば哀れみの視線をくれる、そんな「祝福された」子供だった。  私はどうか。私は、とても褒められた子供ではなかった。才の無いのを妬みに変えて、周りの子供に大事にされたことなどは、その妬みを茶化しに変えるいたずらとずる賢さの才であり、都合に応じて優しさを変え、いじめるようなことはなくとも、興味のない人物にはあからさまなまでに冷淡に接してきた。不正も争いも中途半端に好きであれば嫌いでもあり、自分の美点はそれとなく明かして汚点は必死に隠した。欲に対して厳しく当たっているようで、その実、誘惑には弱かった。人々のあさましい様には眉をひそめながら、自分に訪れる甘美な経験は天からの褒美や見逃しだと考えていた。  私は時には、生きていることが恥ずかしい。ただ日々は敬虔さを求めながら過ぎ行くなかで、それでも何かすれ違う人の中に、私への慰めの声に、細やかで優しい手に、私はまたしも誘われていく。私はそういう人なのか。それとも祈りの果てにこの日々をこえて、すべてを洗い流した美しい景色がこの眼の前に訪れるのか。
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小説 231,958 位 / 231,958件 現代文学 9,767 位 / 9,767件
文字数 2,571 最終更新日 2024.08.11 登録日 2024.08.11
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