話が面白い人の頭のなか

「話が面白い」人がしている、たった1つの工夫

2026.05.14 公式 話が面白い人の頭のなか 第3回
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「楽しそうに話す」の奥にある本質

ちなみに、「楽しそうに話す」のみが、話を面白いと思ってもらう技術の正解ではありません。
たとえば、『行列のできる法律相談所』というテレビ番組によく出演していた北村弁護士のように、まったく楽しそうに話さず、ムスッとした仏頂面ながらも、誰もが魅力的に思える話をされるすごい方もおられます。

もちろんあの方は話の構成や内容も大変素晴らしいのですが、仏頂面で話していても話を聞いてもらっている方の多くは「権威性」を持たれている場合が多いです。
たとえばテレビに出ている専門家の場合、「あの人はテレビに出るくらいすごい方なんだ」というファーストインプレッションがありますよね。それが権威性です。学会の壇上で淡々と話す大学教授もこの例に当てはまることが多いです。
権威性がある場合は正直多少厳かな雰囲気で話す方がいいこともあるのですが、プレゼンが苦手な方がその方法を取って上手くいくイメージが湧かないため、今回は再現性高くプレゼンを聞いてもらえる手法である「楽しそうに話す」ことにフォーカスしています。

ここまで「楽しそうに話す」ことの重要性について述べてきましたが、直感的に理解しやすいように「楽しそうに話す」という表現を使っていただけで、本質はじつはもっと奥にあります。
先ほど「楽しそうに話す」とはほど遠い、ムスッとした仏頂面にもかかわらず話が面白い北村弁護士の例をあげましたが、楽しそうとは思えないような表情で話しているにもかかわらず、「この人楽しそうに話してるなー」と感じさせるケースは少なくありません。

無表情で淡々としているのに、話が面白い人。
怒りながら人を引きつける話をする演説家。
厄介なクレーマーのように人の悪口を言う毒舌のお笑い芸人。

こうした人たちが共通して持っている特徴があります。それは、話すテーマに対して、“熱量”があるのです。
桜井さんの例についても、ずっと笑顔なわけではなく、全然クールな顔でお話されているときがあります。でもなぜか楽しそうなんです。それはそのテーマに対して本気で取り組んできたからこそにじみ出る“熱量”が理由で、それが本質です。
つまり、テーマに対して熱量を持って話せば、どんな表情であっても、楽しそうに話していると感じてもらえるのです。

ただしこれを聞いた多くの方は「プレゼン内容(もしくは営業内容)のことそんなに好きじゃないし、熱量なんてねぇよ」と感じられたかもしれません。そうなんです。世の中そう簡単に好きな内容ばかり話せるわけではなく、興味がないことも話さないといけない場合があります。
というか私も、就職して1社目のインフラ企業のときはそうでした。自分でもよくわからない技術の話についてプレゼンしていました。

ではどうすればいいのかについては、もったいぶるようで恐縮なのですが、ここでは書き切れないので連載の第5回(予定)で詳しく解説しようと思います。
ただプレゼンが差し迫った方もいるかと思うので、ここではひとまず突貫工事の方法を解説します。
卵が先か鶏が先かの話で、多少テーマに興味がなくても楽しそうに話していると人は何かしらの熱量があると感じてくれるので、それなりに人を惹きつける話ができるようになります。

もっとも簡単な「楽しそうに」見える技術

ここまでの話で「楽しそうに話すことが重要」ということは伝わったと思いますが、「楽しそうに話せばOK!」と言われてもどうすればいいかわからないと思うので、いったん一番簡単な基礎だけここで先にお話ししておきます。

楽しそうに話すためにどうするかですが、まず最低限やるべきこととして、「自信のある表情」で前を向いて話しましょう。
「楽しそう」といっても無理やり笑顔で話す必要はないです。自信がある表情をベースにして、時折口角がいつもよりも上がりやや笑顔になるくらいがちょうどいいです。その緩急が「楽しそう」という印象を生みます。

当然すぎて拍子抜けした方も多いかもしれません。すみません。ただ、これを”言語化”しているだけでも周囲と比べて大きくリードできます。言われてみると当たり前で自然とできている人も多いのですが、ちゃんと言語化して理解してやっている人は想像よりも少ないと思います。
ただ、皆さんの周りのプレゼンが上手い人のことを思い浮かべてもらうと、おそらく全員が必ずやっていると思います。あまりにも当然なことなのですが、学生レベルだと(原稿を読まずに)前を向いて話すだけで半分より上、自信をもって話しているだけで上位20%には入る印象です。
大企業で働いていたときに就活の面接官も務めましたが、面接でも自信のある表情でしっかりとこちらを見て話してくる学生は同じバイトリーダーの実績でもより輝いて聞こえてきました。

この練習方法ですが、まず鏡の前で自分の顔を見てプレゼン(過去にやった内容や、思いつかなければ自己紹介でもOK)してみてください。
自分の眉間あたりを見て話してみましょう。気持ち口角を上げ、目をいつもよりも少し開くイメージを持つと自信を持った良い表情になると思います。
この表情がベースで、慣れてくるとより柔らかい表情を生み出せるようになってくると思います。

これだけで「楽しそう」という印象を生み出すことができます。じつは私はゲーム実況中に顔を出していませんが、表情はしっかりつけています。
表情変化が抑揚を生み、それは声に現れ、相手に自分の感情を伝えてくれます。もちろん顔が見えない分大げさに笑ったりはしますが。
ちなみにプレゼンになると次のステップとして視点管理の話も入ってくるのですが、それは追々解説していきます。

それでは今回は楽しそうに話すことの重要性と、それを身につけるためにはどうすればいいかについて解説していきました。
楽しそうに話していると、人は話を最後まで聞いてくれるようになります。
基礎的な内容ではありましたが、どんなことでも基礎が一番重要です。今日言語化したテクニックを自然とできるようになること、それがわかりやすく話す技術の第一歩です。

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プロフィール

だいふく
だいふく

ポケモンやスマブラなどの実況・解説動画で人気を博す、YouTube登録者数32万人のゲーム実況者。2021年から2024年2月までQuizKnockのゲームチャンネルのプロデューサーをつとめていた。日々動画配信を行うなかで面白く伝えるためのノウハウを体系化し、どんなに難しい情報でも「わかりやすく」「面白く」解説してくれると高く評価されている。ハイテンションでコミカルな実況と、たしかな根拠に基づいた分析が武器。

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