あらゆるスキマ時間で集中学習! 無駄ゼロ独学術

頭がいい人が実践する「集中力を高める」もっとも簡単な方法

過去の連載をまとめた石動龍氏のビジネス書『意志の力に頼らないすごい独学術』が、大好評発売中!

集中の邪魔になるもの

具体的に、集中の邪魔になるものの種類ごとに対策を考えてみましょう。
まずは、ゲーム機やマンガなどの娯楽品です。私は子どものころからゲームが好きで、いまでも毎日のようにプレイしています。RPGが中心で、最近は『真・女神転生Ⅴ』や『龍が如く』シリーズの過去作で遊んでいます。また、この原稿は自宅で書いており、『ドラゴンクエスト』の2や3のRTA動画を見ながら内容を考えています。かつて『ウイニングポスト』にはまって、公認会計士試験に挫折したのはお伝えしたとおりです。

そのほかにも、サッカーゲームの『ウイニングイレブン』にはまって大失敗した経験があります。それは、はじめて挑戦した司法書士試験の3日ほど前だったように記憶しています。
順調に勉強が進んでおり、模試の結果も上々で、合格の手ごたえもありました。ゲーム機はさらに厳重に封をし、普段は開かない収納スペースの奥にしまっていました。
本番を目前に控え、魔が差したとしか言いようがありません。過去の教訓が生きることはなく、「今日くらいはいいだろう」という気持ちになり、封を解いてしまいました。久しぶりにプレイするゲームは面白く、時間を忘れてのめりこみました。
それから本番まで、私がテキストを開くことはなく、試験会場に向かいました。
資格試験では、微妙な知識の差で、合否が分かれることが珍しくありません。確実に覚えていたはずのことがあいまいになり、正しい解答を選べずに、致命的な失点をしてしまうことがあります。そのため、直前の追いこみはとても重要です。あいまいだった知識を確認し、点を取れる武器に変えることができます。
このときの私は、試験直前の3日間で知識の確認を行わなかったため、それまで確実に覚えていた知識が少しずつ抜けてしまい、記憶が怪しくなっていました。本番の試験では、それまでの模試では間違えたことのないような問題も、自信をもって解答することができませんでした。必然的に模試より時間がかかり、余裕がなくなって焦る気持ちが募っていきます。司法書士試験は午前の部と午後の部があり、どちらかで基準点に達しなければその時点で不合格になります。午後は気持ちを立て直して目標どおりの点を取れたものの、午前中の得点が伸びず、足切りで不合格になりました。

では、どうすればよかったでしょう。
おすすめしたいのは、所有をやめてしまうことです。
私の場合だと、司法書士試験の不合格が決まってから、家にあるゲーム機を売却しました。疲れたときも、ゲーム自体が手元にないのでありません。これで誘惑に負けることはなく、翌年は無事に合格することができました。
このように、娯楽品は売ったり知人にあげたりして、受験期間中は手元からなくしてしまうことが一番の対策になります。

スマホはどうすべきか

続いて、スマホなどの必需品です。これらは娯楽品と異なり、所有しないという選択は難しいです。スマホがなければ、仕事や生活に大きな支障が出てしまいます。そのため、それらに影響が出ない範囲で機能を制限することが現実的でしょう。
具体的には、アマゾンプライムやネットフリックス、DAZNなどのコンテンツを見られるサービスはなるべく解約したほうが良いように思います。スマホのゲームは基本的にアンインストールし、課金もできないように制約をかけましょう。さらに、毎月の契約ギガ数を極力少なくし、娯楽のために使用するにはなるべく不便にするとよいでしょう。

家で勉強する場合は、思いきってスマホの電源を切り、勉強する部屋からなるべく遠い場所にしまっておきましょう。
図書館や自習室で勉強する場合は、家に置いていったり、コインロッカーに預けたりしてから勉強すると、集中しやすいと思います。
通勤や仕事の休憩時間に勉強する場合は、電源を切ってカバンの最深部にしまっておくとよいでしょう。

理想は、勉強道具以外何もない空間

他にも集中の邪魔になりそうなものがあれば、なるべく目に入らないようにレイアウトを変更しましょう。少しでも意識が向いてしまうと、気になってしまい、内容が頭に入りにくくなります。
理想的なのは、勉強道具以外は何もない空間に、一定時間拘束されるという状況です。私の場合だと、それが通勤電車でした。当時のスマホはスペックが低いためインターネットはほとんど見られず、楽しめる持ち物もないので、自然に毎朝テキストを開くことができました。

テキストや問題をスキャンして電子化し、タブレットなどで勉強している人も多いと思います。しかし端末がインターネットにつながっていれば、SNSのメッセージやニュースが目に入ってしまいます。新しい情報に影響されずに勉強できる人であれば問題ないでしょうが、私はもともと注意散漫な傾向があり、すぐに集中が削がれてしまうタイプです。同じような特性を持つ人は、デジタルツールを使って勉強する場合は注意しましょう。もし使用する場合は、勉強時間中はインターネットに接続しないなどの対策をするとよいでしょう。
私は誘惑に勝つ自信がなかったので、テキストや問題集はすべて紙のものを選び、徹底的にアナログの環境で勉強していました。その場合は、テキストと問題集が相当な量になり、通勤カバンがとても大きくなってしまいますので、不便にはなります。
同じ時間をかけても、集中していたかどうかで効率は異なり、合否にも大きく影響します。自分の性格に合わせて、物理的に集中できる環境をつくることを考えましょう。

石動龍『意志の力に頼らないすごい独学術』書籍の詳細はこちら

 

ご感想はこちら

プロフィール

石動龍
石動龍

青森県八戸市在住。公認会計士、税理士、司法書士、行政書士。読売新聞社記者などを経て、働きながら独学で司法書士試験、公認会計士試験に合格。石動総合会計法務事務所代表。ドラゴンラーメン(八戸市)元店長、ワイン専門店vin+共同オーナー、十和田子ども食堂ボランティアとしても活動している。趣味はブラジリアン柔術(黒帯)と煮干しラーメンの研究。

著書

意志の力に頼らないすごい独学術

意志の力に頼らないすごい独学術

石動龍 /
キャリアアップ、資格試験、公務員試験、TOEIC、リスキリングなどにおいて、予備...
出版をご希望の方へ

公式連載