あらゆるスキマ時間で集中学習! 無駄ゼロ独学術

勉強時間をつくれない人に、独学プロが教えたいこと

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キャリアアップ、資格試験、公務員試験、TOEIC、リスキリングなどにおいて、予備校や専門学校に頼らず一人で勉強するのはうまくいかないものです。いわゆる「独学」が難しいといわれる理由は――人間の意志がそもそも弱いからです。ただし、人間の意志は弱いという事実を受け入れることで、独学の成功率を高めることができます。この本には、忙しい社会人でも実践できる、独学を成功させるためのノウハウが満載です!
この連載をまとめ、加筆・改稿したビジネス書『意志の力に頼らないすごい独学術』(石動龍)が、アルファポリスより好評発売中です。

私の時間の使い方

最近「パラレルワーク」という言葉を耳にすることが増えてきました。私も、複数の仕事を同時並行でこなしています。公認会計士、税理士、司法書士、行政書士のほか、ワイン小売店経営、医療法人役員、協同組合理事、つい最近まではラーメン店を経営しており、気がつけば名刺は5種類以上、肩書は10以上になっています。さらに、2023年から不動産業を始め、税理士試験の学習支援サービスも開始しました。
どの事業も人任せにはしていません。ほぼすべての業務を自分自身が行っています。法人税や所得税の申告書、登記申請書や委任状、許認可に関する書類などは、すべて私が一から十まで作成しています。

すごいだろ? と自慢したいわけではありません。これまで書いたように、私はまったくの凡人だと思っています。それに、自分で手を動かすことは、必ずしもいいことではありません。自ら手を動かすスタイルで働いていると、自分の可処分時間以上に仕事は増やせません。ビジネスの規模を大きくすることはできないので、収入も頭打ちになります。

あえて言うならば、時間の使い方は人より少しだけうまいかもしれません。
たとえば、この原稿を書いたのは、とある日の土曜の12時です。朝7時に起床して事務所に行き、顧問先2社の会計データをチェック、来週決済の所有権移転登記書類を作成したあと、9時にラーメン店の材料を買って店に行きました。家に戻って11時からラーメンの試作をして、それから原稿を書き始めています。1回の記事は4000字が目安のため、1300字ずつ、3日に分けて書く予定です。

この日は一例ですが、だいたいこんな感じの日々を過ごしています。毎日の作業で行っていることは、受験生時代よりはるかに多いです。ですが、それほど忙しいという感覚はありません。むしろ、まだまだやりたいことがたくさんあります。
しばらくやめていた格闘技の練習も再開したいですし、民泊を始めるための物件探しもしたいです。最近、市役所前の広場を借りて屋台やキッチンカー、ステージパフォーマーを誘致し、数千人が来場するイベントの運営も始めました。地元の経済を活性化させるため、微力ではありますが力を尽くしたいと思っています。

私がたくさんの仕事を並行して行っていることに驚く人がいるかもしれません。
当然ですが、人間に与えられた時間は平等です。私の1日も24時間しかありません。だいたい私は24時半から1時の間に眠り、7時に起きています。夜は6時間半ほど眠り、眠くなったら昼寝をするので、平均すると1日の睡眠時間は7時間ほどになります。
そのほか、風呂、食事、子どもの世話に3時間30分、通勤時の運転に30分かかるので、仕事や趣味に使えない時間の合計は11時間ほどです。それを除くと、1日の可処分時間は13時間ほどになる計算です。

私の趣味は格闘技ですが、先ほども書いたように最近はほとんど通えていません。他に楽しみに使う時間は、ユーチューブを見たり、ゲームをしたりする程度です。平均すると、趣味に使っている時間は1時間ほどになるので、残った12時間を自由に使えることになります。これだけあれば、先述した仕事をすべて行っても、時間は余ります。アイデアを生み出すために余白の時間を残したいので、ボーッとして何もしない時間も多いです。

時間を有効に使うコツ

このように、時間を有効に使おうと思えば、24時間でたくさんのことができます。そのためには、いくつかコツがあります。

まず一つ目のコツとして覚えておくべきことは、時間はつくろうとしなければつくれない、ということです。仕事を終えて帰宅したあと、マンガを読んだり、動画を見たりなど、思い思いの時間を過ごしていると、あっという間に時間が過ぎてしまいます。
そうならないように、自分の可処分時間を把握し、重要な順に必要なタスクを組みこんでいくことで、やるべきことを行う時間を確保できます。

二つ目は、ムダな時間は意識的に削る必要があるということです。やることがないのに、だらだらと残ったり、人数合わせで会議に出たりしている場合は、注意しましょう。
人生は有限です。そして、自由に使える時間は思ったより短いものです。
仮に、健康に生活できる年齢を80歳までとすると、生まれたときから残された時間は2万9200日、たった70万800時間しかありません。
3分の1は眠っていることが普通でしょうから、そうすると、自由に使える時間はおよそ50万時間しかありません。思ったより少ないと感じる人がほとんどではないでしょうか。

私もサラリーマン時代に、上司が帰らないからなんとなく自分も残っていることがありました。勉強を始めて定時に帰ることを徹底してからは、かなり少なくなったものの、振り返るとそれらはどうしようもなくムダな時間でした。正確にカウントすることは難しいですが、1日10分だとしてもひと月に3時間、8年にわたって無意味な時間を過ごしたと仮定すると、トータルでは288時間になります。
不動産業界で重宝される宅建士の試験に合格するために必要な勉強時間、300時間に近い数字です。資格があれば不動産会社では月に数万円の手当を受け取れることが一般的で、不動産業者として独立することもできます。
だらだらと上司の顔色を気にしながら残っているだけで、そのように人生の選択を増やすことができるほどの時間を、ドブに捨てていることになります。

「時は金なり」という言葉がありますが、時間は金銭的価値に換算できるだけでなく、命そのものです。
時間があれば遊ぶことも学ぶことも、楽しむこともできます。
理由なくムダに使うことはなんの意味もなく、死ぬときに後悔することになるかもしれません。

終身雇用は事実上崩壊し、ジョブ型雇用の傾向が強くなっています。スキルのある人材に対して初任給を大幅に上げ、有能な人材確保を狙う企業も増えています。
2022年にマイナビが行った「新入社員の意識調査」によると、アンケートに回答した新入社員のうち、「定年まで勤めたい」と回答したのは18.5%だったそうです。この調査だけでも、転職を視野に入れたキャリア形成が一般的になりつつあることがわかります。
企業の立場で考えると、教育を行っても辞めてしまう社員が増えることになるので、コストをかけずにスキルのある社員を採用する傾向が強くなるはずです。必然的に人間関係よりもスキルが重視されることになりますから、上司の機嫌をとる意味は年々小さくなっていきます。
ムダな時間を削って、自分のために使うべきでしょう。

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プロフィール

石動龍
石動龍

青森県八戸市在住。公認会計士、税理士、司法書士、行政書士。読売新聞社記者などを経て、働きながら独学で司法書士試験、公認会計士試験に合格。石動総合会計法務事務所代表。ドラゴンラーメン(八戸市)元店長、ワイン専門店vin+共同オーナー、十和田子ども食堂ボランティアとしても活動している。趣味はブラジリアン柔術(黒帯)と煮干しラーメンの研究。

著書

意志の力に頼らないすごい独学術

意志の力に頼らないすごい独学術

石動龍 /
キャリアアップ、資格試験、公務員試験、TOEIC、リスキリングなどにおいて、予備...
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