伝わる文章術

意外と知らない、メールでの失礼な表現

2019.04.25 公式 伝わる文章術 第26回
Getty Images

コラム いますぐ簡単にできる
文章のブラッシュアップ法 その26
文中で外国語を使う頻度は
読み手に応じて、それでも基本は控えめ

ビジネス書の作家でも前職が外資系企業、あるいは総合商社という人は会話や文章の中に自然に外国語(ほとんどは英語)が混じってきます。
本人は社内で普段使っていた言葉ですから意識せずに使っている(まれに意識して使っている人もいます)のですが、ときおり「英語が多すぎる」と読者や講演会の参加者に言われるそうです。

文章で使う言葉は、読む相手に応じて選ぶものです。
したがって読者が外資系の社内だけ、総合商社の社員だけという場合は、英語がいわば標準語なのですから何ら問題はありません。
しかし、広範囲に多くの人が読む、言葉を換えれば誰が読むかわからない文章では、なじみのない言葉は可能な限り控えめにが原則です。

<文例① 一般の人にわかりにくい文章>
NYのビジネスパーソンにとっても、KPIは最大のトピックである。
そこで本人の評価が決まるからだ。

アルファベットの略語を使うのは、やはりアメリカ人とビジネスをしている人の文章でよく見かけます。
若い世代の間でも、こうした表現は違和感なく使われているようですが、ちょっと無理して使っている感が否めないですね。

<文例② 一般の人にわかりやすくした文章>
ニューヨークのビジネスパーソンにとっても、重要業績評価指標(KPI)は最大の話題である。
そこで本人の評価が決まるからだ。

KPIはそれ自体専門用語ですから、日本語にしても正確な意味は伝えられませんが、日本語だとどうやら評価の方法らしいことはわかります。

相手にわかりやすくが基本

いまや日本語の文章を、カタカナを使わずに表現するのは至難の業です。
例えば「フィードバック」などは、日本語でその地位をしっかり築いていますから、本来の英語の意味を日本語にするだけでは、意味のとおる日本語の文章にはなりません。
そういう面からはカタカナ、英語を使わずに文章を書くというのは、かなり高度な文章技術を要します。
本コーナーのタイトル「簡単にできる文章のブラッシュアップ法」にはなじまないかもしれませんが、読む人にわかるように文章をつくるという原則に則ればコツはつかめるはずです。

<文例③ 一般になじまない英語混じりの文章>
上司のレビューとアセスメントは、部下に対するフィードバックのエレメントである。
その積み重ねが仕事のプリンシプルとなるため、企業のガバナンスにとってはある意味でIFRSよりも大事だ。

何となく言わんとすることは分かりますが、隔靴掻痒(かっかそうよう/思うようにいかずじれったいこと)の感を覚える文章です。
恐らく最も読者に嫌われる文章のタイプと思います。まったくわからない文章のほうが、まだマシと思われるのではないでしょうか。

<文例④ 一般になじむ日本語に変換した文章>
上司のチェックと評価は、部下に対するフィードバックの大事な要素である。
その積み重ねが仕事の原則となるため、企業のかじ取りにとってはある意味で国際会計基準よりも大事だ。

フィードバックはそのままでもいいように思いますが、あえて日本語に置き換えるとすれば、ここでは「部下との対話」でしょうか。
ビジネスの専門用語は英語が多いですし、背伸びして英語を使ったほうが文章はかっこうよく見えるのではないかという気がしますが、実際の効果はあまりありません。むしろ逆効果のほうが多いくらいです。

文章の原則は、可能な限り英語は使わずに日本語で、略語もできるだけ避けて正式名称を用いる、ということになります。

次回に続く

 

ご感想はこちら

プロフィール

亀谷敏朗
亀谷敏朗

1984年中堅ビジネス書出版社だった中経出版に入社。本づくりのかたわらセミナー事業、コンサルティング・ビジネスにも携わる。また、在職中は中小企業から一部上場企業までを横断した、企業内の教育担当者の異業種交流会を主催した。
2004年フリーの出版プロデューサーとして独立。主にビジネス書作家のデビューを支援する。
支援の一環として、新人作家の原稿づくりのアドバイスを手掛けたことから、改めて伝わる文章の研究を始める。
「名文は要らない」、「読者と編集の立場から見たわかりやすい文章」に軸足を置いた方向で、新人作家には文章の書き方をアドバイスしている。

著書

ちょっとしたことで差がつくメールの書き方

ちょっとしたことで差がつくメールの書き方

亀谷敏朗 /
「短く、シンプルでスピーディーなメール術」を、数多くの実例を交えて解説する...
出版をご希望の方へ

公式連載