Z世代を甘やかすな

「報連相って意味あるんですか?」非常識なZ世代の驚きの言い分とは

2026.01.30 公式 Z世代を甘やかすな 第3回
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「残業したくないんですよね」「それって僕の仕事ですか?」「飲み会ダルいんで行きたくないです」「そのやり方タイパ悪くないですか?」

指示は素直に聞かず、指導をすれば「それってパワハラですよね?」と口答え。世間は「価値観のアップデート」を強いてきて、Z世代への指導はどんどん弱腰になってしまう。好き勝手にふるまうZ世代部下のおかげで、職場の空気は弛緩する一方です。つけあがってさらにモンスター化するZ世代部下は、あらゆる職場に出現し、管理職を困らせています。そんな現状に、ビジネスライターの黒坂岳央さんは「Z世代を甘やかしてはならない」と警鐘を鳴らします。Z世代部下にかき回された職場を正常化するために、Z世代を甘やかさない、毅然としたコミュニケーションを身につけましょう。

「ホワイト社会」という地獄

現代社会は「穏やかさ」に包まれている。誰も本当のことを言わない。誰も傷つけない。一見すると理想郷のように見えるこの環境には、致命的な欠陥がある。それは「耳の痛いフィードバック」を受ける機会の喪失である。

会社や上司からはかつての「厳しさ」は消え失せ、ハラスメント対策という名の下に、過剰なまでの配慮が求められるようになった。しかし、この「ホワイト化」された社会こそが、Z世代社員から成長の機会を奪い、彼らを市場価値のない人材へと追いやる「静かな加害」となっている。

SNSにより無敵化するZ世代

かつて、企業には独自のルールが存在した。「うちはこういうやり方だから」という理屈が通用し、証券会社の営業現場に見られるような、体育会系的な指導が是とされている社風もあった。そこには「嫌ならその業界を辞めろ」という不文律があり、良くも悪くも組織の論理が個人の感情より優先されていた。

しかし、今は違う。社会全体が極端にホワイト化し、企業の独自ルールは通用しなくなった。Z世代の判断基準は、社内の規範ではなく、SNSという広大な外部ネットワークの空気感である。正義の基準は今やSNSなのだ。

多くのZ世代が、会社という物理的な居場所とは別に、SNS上に「セカンドライフ」を持っている。会社で少しでも理不尽と感じる指導があれば、即座にSNSで共有され、拡散され、企業や個人が糾弾されるリスクがある。上司たちはこの「炎上リスク」に怯え、指導の言葉を飲み込み、当たり障りのないコミュニケーションに終始するようになった。

その結果、何が起きているか。部下は、自分の行動や考え方の欠点を修正されないまま年齢を重ねていく。SNSのアルゴリズムにはユーザーの好む情報がサジェストされるので、あたかも自分の見ている世界が標準と感じやすい。これをフィルターバブルという。誰からも叱られず、否定もされず、心地よい環境の中で「自分はできている」という全能感を抱いたまま、裸の王様になっていく。

20代のうちは「若さ」というポテンシャルだけで許されるかもしれない。だが、30代、40代になったとき、スキルも経験もなく、ただプライドだけが高い人材に市場価値はつかない。誰にも指摘されない気楽な環境の代償は、将来、「使い物にならない中年」として社会に放り出されるという形で、彼ら自身が支払うことになるのだ。

SNSは自爆するまで終わらない

若者たちが頼りにしているSNSというツールについても、冷静な認識が必要だ。彼らはSNSを「権力に対抗するための武器」や「自分を肯定してくれる味方」だと信じている節がある。しかし、それは大きな誤解だ。

SNSは、労働者の味方などではない。単なる増幅装置に過ぎず、場合によっては銃口が自分自身に向けられる危険な凶器となる。SNSはよく「拳銃」にたとえられるが、トリガーを引いた瞬間、弾丸がどこに飛ぶかは誰にも制御できない。

よくある事例として、若手社員が「上司にこんなことを言われた」と不満のポストが、逆に「それはお前の仕事の仕方が悪い」「無能な部下を持った上司がかわいそう」と一斉攻撃を受けるケースがある。いわゆる「自爆」だ。

社会の基準は流動的であり、SNS上の正義もまた、極めて不安定なものである。そのような不確かなものを判断基準にし、目の前のプロフェッショナルな指導を拒絶することは、彼らにとってあまりにもリスクが高い生存戦略である。

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プロフィール

黒坂岳央
黒坂岳央

1981年大阪府生まれ。実業家。学生時代から人間関係でなめられることに苦しみ、社会に出ても理不尽な扱いを受け続けた経験を持つ。しかし、その経験を逆手に取り、なめられないための戦略を研究、体系化した。現在は、本業のかたわら、アゴラ、プレジデント、Yahoo!ニュースなどネットメディアでニュース・オピニオン記事を執筆し、PVの最高値は1記事で150万PV超。テレビ朝日系、TBSラジオなどテレビ・ラジオ番組にも多数出演している。なめられる弱者だった立場から、自らを研究対象として積み上げてきた経験を土台に本書を執筆している。

著書

なめてくるバカを黙らせる技術

黒坂岳央 /
世の中「なめてくるバカ」が多すぎて、共感、感動、絶賛の声殺到! 大人気Web連...
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