ちゃんと働いているのに、なぜかずっとしんどい

かつて頼りになっていた存在が、気づけば組織のボトルネックに陥る理由・ワースト1

「自分しかできない」には二種類ある

ここで、ちょっと嫌な問いがあります。
「自分しかできない仕事」は、本当に自分にしかできない仕事なのか。
もちろんあります。

高度な専門性が必要な仕事。
経験を積んだ人にしか分からない判断。

これは普通にある。
でも、もう一つある気がしています。
自分にしかできないのではなく、

自分しかやってこなかったから、自分しかできなくなった仕事。

この二つ、外から見るとかなり似ています。
本人にも、たぶん見分けにくい。
「俺がいないと回らない」
と言う人がいます。
それ、本当にすごいことかもしれません。
でも、
「俺がいないと回らない状態を、何年も維持してきた」
とも言える。

ちょっとだけ景色が変わります。
40代になると、「できる」の意味が変わる
若い頃は、自分でできることが増えるのが成長でした。

昨日より早くできる。
難しい仕事を任される。
人より詳しくなる。
できることが増えると、普通にうれしい。

僕もそうでした。
でも、40代くらいになると、役割が少し変わってきます。
自分ができることを増やすだけでは、仕事が減らなくなる。
むしろ、

できる。
↓
頼られる。
↓
仕事が集まる。
↓
さらにできるようになる。
↓
もっと仕事が集まる。

という、これまたよくできた仕組みに入ります。

そして気づけば、能力が高いのに、自分が組織のボトルネックになる。
かなり皮肉です。
作業療法では、誰かが何かをできるようになるために、ずっと代わりにやり続けることはしません。

Getty Images

少し任せる。
難しければ支える。
できるようになったら、支えを減らす。
その人が担える範囲を少しずつ広げていく。

仕事も、似ているのかもしれません。
40代から増やすものは、「自分ができる仕事」だけではない。

「自分がやらなくてもできる仕事」

も増やしていく。

それは、自分の価値が減ることではありません。
自分の中にしかなかったものが、少しずつ周りにも残るということです。
次に、「もう自分でやった方が早いな」と思ったとき。
すぐに任せる必要はありません。

でも、一回だけ考えてみてもいい。
この仕事を自分でやることで、自分は何を守っているんだろう。

ご感想はこちら

プロフィール

三宮孝太
三宮孝太

作業療法士・修士。北海道の急性期病院で23年、のべ5万人の「働く人」のリハビリに関わってきた。働きながら身体を壊した人、心が動かなくなった人、彼らの人生に何度も伴走するうちに、なぜ真面目に働いている人ほどしんどさを抱え込んでしまうのかという問いに直面する。それをきっかけとして2026年、株式会社DIALOGを設立。企業の健康経営支援と、個人のコンディションを整えるウェルネス事業を通じて、「働きながら、自分を取り戻せる社会」を目指す。noteでは「3ちゃん|ごきげんナビゲーター」名義で、「しんどさ」をほどく言葉を日々綴っている。

出版をご希望の方へ