ここで、ちょっと嫌な問いがあります。
「自分しかできない仕事」は、本当に自分にしかできない仕事なのか。
もちろんあります。
高度な専門性が必要な仕事。
経験を積んだ人にしか分からない判断。
これは普通にある。
でも、もう一つある気がしています。
自分にしかできないのではなく、
自分しかやってこなかったから、自分しかできなくなった仕事。
この二つ、外から見るとかなり似ています。
本人にも、たぶん見分けにくい。
「俺がいないと回らない」
と言う人がいます。
それ、本当にすごいことかもしれません。
でも、
「俺がいないと回らない状態を、何年も維持してきた」
とも言える。
ちょっとだけ景色が変わります。
40代になると、「できる」の意味が変わる
若い頃は、自分でできることが増えるのが成長でした。
昨日より早くできる。
難しい仕事を任される。
人より詳しくなる。
できることが増えると、普通にうれしい。
僕もそうでした。
でも、40代くらいになると、役割が少し変わってきます。
自分ができることを増やすだけでは、仕事が減らなくなる。
むしろ、
できる。
↓
頼られる。
↓
仕事が集まる。
↓
さらにできるようになる。
↓
もっと仕事が集まる。
という、これまたよくできた仕組みに入ります。
そして気づけば、能力が高いのに、自分が組織のボトルネックになる。
かなり皮肉です。
作業療法では、誰かが何かをできるようになるために、ずっと代わりにやり続けることはしません。
少し任せる。
難しければ支える。
できるようになったら、支えを減らす。
その人が担える範囲を少しずつ広げていく。
仕事も、似ているのかもしれません。
40代から増やすものは、「自分ができる仕事」だけではない。
「自分がやらなくてもできる仕事」
も増やしていく。
それは、自分の価値が減ることではありません。
自分の中にしかなかったものが、少しずつ周りにも残るということです。
次に、「もう自分でやった方が早いな」と思ったとき。
すぐに任せる必要はありません。
でも、一回だけ考えてみてもいい。
この仕事を自分でやることで、自分は何を守っているんだろう。