とはいえ、いざ「自分の好きなこと」を探そうとするとき、スマホを開いてネット検索をしたり、AIチャットに「自分に合う趣味」を教えてもらおうとしたりする人も多いのではないでしょうか。
25年以上、心理師としてカウンセリングで様々な人のお話をお伺いしていますが、最近、新たな相談傾向があることに気づきました。それは、「AIを頼りすぎて本当の自分がわからない」人が増えていることです。
「AIの言いなりさん」は、AIチャットでまとめられた情報をカウンセリングに持参します。それはそれで、さすがAI、よく簡潔にまとめられているので、良い情報提供となります。しかし、「AIがこう言っているので、自分はそれが問題なのだと思います。AIに、この部分を解決しなければいけないと言われました」と相談されると、私は頭の中に「ハテナ」がたくさん浮かぶのです。そして、次のように質問します。「あなた自身は、どうなりたいですか?」と。
すると、今度はご本人がキョトンとした顔になり、「え、どうなりたいと言われても……」と戸惑われます。
実は私は、このようなAIチャットが導き出した文章を様々な相談者様から提示されるので、だいたいどれも似たようなことが書かれていることを知っています。ですから「この部分は、誰にでも同じようなことが書いてありますよ」と教えてあげることもあるくらいです。
「AIの言いなりさん」たちは、AIチャットの内容があたかも「自分にだけ向けられたメッセージ」だと受け止めてしまう傾向があるようです。
ご存じの通り、AIは世界中の情報からあなたの悩みに適合する内容を伝えてくれますので、とても便利です。自分の悩みを思いつくままに入力すれば、簡潔にまとめてくれますし、考えられる要因や対策も教えてくれます。
けれども、それは「あなたのような悩みをもつ人たちに適合される内容」であって、「あなた自身に向けた本当の答え」ではないのです。
同じテーマについて延々とAIチャットに質問することも控えた方がよいでしょう。質問するうち、気になるワードが出てくると、そのワードで検索し、さらにヒットした情報のなかで知らない用語が出てくるとそれについて検索し……を繰り返すと、知らない間に、本来のあなたが知りたいテーマからずれて行ってしまう可能性もあります。
AIチャットは、人間が利用するものであって、AIの言いなりにならないように気をつけて。使えば便利なものですから、ほどよく活用してくださいね。