自己効力感が大切だというのはわかってもらえたと思いますが、決して新しい考えではありません。この自己効力感、いまになって注目を集めているのにはいくつか理由があります。
その1つが、自己効力感が低下しているという現代の状況です。
いま私は短大で授業を持っているんですが、学生たちに向けて「自分の可能性を信じられていますか?」と尋ねても、自信を持って「自分には可能性がある」と答えられる学生はほとんどいません。
実際に日本人の自己効力感は低く、それは仕事に向き合う姿勢にも現れています。米国の調査会社ギャラップ社の調査によると、日本の組織において熱意あふれる社員は6%しかいないというデータが出ています。なお、70%がやる気がない社員で、残りの24%が不満をまき散らす社員です。
仕事に期待しないという姿勢が、日本の組織で蔓延しているという状況の根底には、働く人たちの「自分には何も変えられない」という自己効力感の低さがあるんだと思います。
さらに、自己効力感の低さは若い人ほど顕著なようです。一説には、SNSによる他人との比較文化によって自己評価が下がり、自己効力感まで喪失してしまうとのことです。
いずれにしても、自己効力感が低下傾向にあるというのは、複数の政府・調査機関の調査結果とも一致しています。
また「正解のない時代」になったというのも、自己効力感が注目されるようになった理由の1つです。
かつては決まった手順を守ることで仕事は進んでいきました。正解らしきものがあったので、会社や上司が提示してくれるその正解に従うだけでよかったのです。
いまそうではなくなっています。そのため、問題自体を自分で定義したり、試行錯誤したりする必要が出てきました。
そこで求められるようになったのが自己効力感です。「自分はうまくやり遂げられる」という思いで問題に向き合い、失敗しつつも自分なりの正解を見つけだしていく必要があるのです。
大きく分けてこの2つの理由から、自己効力感への意識が高まっています。
だからこそ組織のリーダーは、メンバーの自己効力感を高めることで組織に貢献するようにうながす必要があり、それがいまリーダーには求められているというわけです。
そしてこれは家庭でも同様です。家庭内でも自己効力感の低下は表れており、家庭の有り方も多様に変化しているため、家庭での正解もあいまいになっています。だからこそ、家族の自己効力感を高めるようなアクションが、いま重要になっているのです。
いかに家庭内で自己効力感が大事か、そして、どのようにして家族の自己効力感を育んでいくかについては次回解説します。