2020ヤクルト 高津流スワローズ改革!

高津監督が描く「勝てる組織」とは――
「考え方・方向性が同じでないと組織は機能しない」

考え方、方向性が同じでないと組織は機能しない

――コーチ陣の年齢を見ると、杉村コーチが60代で最年長、河田コーチが高津監督より一歳年上で、あとは同世代や年下ばかりです。この点は組閣の際に意識されたのですか?

高津 年齢に関してはほとんど意識していないですね。むしろ、僕が求めたのは「僕の考えを共有してくれる人」です。ここで言う「僕の考え」とは、僕は選手たちに気分よくプレーしてもらいたいと考えるタイプなんです。だから、コーチたちにもこの考えを共有してもらいたい。考え方、方向性が同じでないと組織は機能しなくなると思いますね。

――コーチたちとの意思疎通、意識の共有で注意していることはありますか?

高津 選手時代はロッカールームやクラブハウスで同じ時間を過ごすことで、選手同士のコミュニケーションを図っていました。今、コーチたちはコーチ室で一緒にいることが多いんです。この部屋では常に意見交換をしているし、ときにはファーム中継をみんなで見たり、野球以外のことでもお互いの意見を披露したりして、コミュニケーションを密にしています。それはとても大切なことだと思いますね。

――もうひとつ、組織作りにおいては「フロントとの協力体制」も重要になってきます。たとえば編成面など、現場の要望をフロントに伝えることなどはあるのでしょうか?

高津 この点は、ヤクルトは昔から風通しはいいですね。小川淳司GMは監督経験者ですし、球団社長からも「要望があれば何でも言ってくれ」と言われています。もちろん、要望がかなうかどうかというのは別問題ですけど、「言いたいことが言えない」というストレスはまったくないです。

――たとえば、「こういう外国人を獲得してほしい」とか、「ここがウィークポイントなので、こういうタイプの選手を補強してほしい」など、具体的な要望も話しやすい?

高津 そうですね、具体的にはここでは言えないけど(笑)、そういう要望を出すこともありますね。ただ、目先の補強だけではなくて、数年先を見据えた育成について希望をお話しすることも多いですね。

――強い組織には風通しのよさは欠かせないですからね。

高津 絶対にそれがないと難しいと思います。「ユニフォームを着ているから」とか「背広を着ているから」と区切ってしまうことに意味はないと思います。チーム全体で考えるべき問題に、意味のない境界線は絶対にない方がいい。お互いに話をしやすい環境、意見を言いやすい環境は大切だし、その点はいい状態で戦えていると思います。

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プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

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2021年、20年ぶりの日本一へとチームを導いた東京ヤクルトスワローズ髙津臣吾監...
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