――若手選手にとってはチャンスの時期である一方で、「山田哲人、中村悠平といったベテランの奮起に期待したい」という発言もありました。両ベテランとも、なかなか調子が上がらない状況ではありますが、この発言の意味を教えてください。
髙津 やっぱり、ベテランが元気じゃないとチームはうまくいかないんです。中村が元気じゃないとバッテリーがうまくいかない。哲人が引っ張っていかないとチームはまとまらない。調子うんぬんという以前に、彼らがゲームに出ること、常に前へ向いている姿勢を他の選手に見せることが大切。年齢とともに力が落ちてきたのか、身体の調子がよくないのか、理由はいろいろあるとは思うけど、今までこの2人がチームを引っ張ってきたのは事実なので、それは今も変わることなく求めたいと思っています。
――山田選手がスタメンから外れたり、中村選手の代わりに古賀優大選手がスタメンマスクをかぶったりするケースもありますが、それでもやっぱり山田、中村両選手がスタメンに並んでいると、チームはよりまとまるという考え方でしょうか?
髙津 絶対そうだと思いますね。今の他の選手だと長続きしないですよ。例えば中村の代わりに古賀が出ました、哲人の代わりに誰が出ましたと言っても長続きしないですね。これはやっぱり本当の意味でのレギュラーじゃないからだと思うんですね。そういうのを繰り返してレギュラーになっていくんでしょうけど、現状ではまだ本当の意味でのレギュラーになっていないということだと思いますね。
――そうすると、苦肉の策ではあるけれども、なかなかメンバーを固定できないからこその流動的な打順だったり、スタメンだったりという中から、近い将来にレギュラーをつかむ選手が出てきてほしいところですね。
髙津 うん、そうなってほしいですね。本当は、開幕前に描いていたイメージがあったけれど、その通りにいっていないっていうのはすごく残念ですけどね。今の状況の中から少しずつ形が整っていって、そうした中で離脱していたメンバーが、いい状態で1人なり、2人なり、帰ってきてくれたらいいなと思っています。

――いろいろ試行錯誤している状況下において、先ほど名前を挙げた例えば岩田選手のように少しずつレギュラーに近づいている選手も出てきているように思えますが、いかがですか?
髙津 今、岩田もすごく頑張っているけど、絶対調子の波というか、いいとき、悪いときは必ずあるので、「いいときは気持ちよくやらせてあげたい」と考えているし、その一方では調子が落ちてきたときのことも考えておかなきゃいけない。岩田に関しては、まだまだ勉強は足りないし、いろいろ吸収している途中ですけど、頭を使いながら気分よくゲームに出られているのかなという感じはします。そういう選手が、1人でも多く出てくることを期待しています。
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