大丸松坂屋、「外商」売上が30%増に急伸の理由…50歳以下の顧客が増加

「当社の中でも、外商部門はめざましい成長分野だと言えます。この数年で、外商部門の中でも特に変わってきたのが、売上高に占める50歳以下のお客様の割合です。いわゆる『若年富裕層』のご利用が増えていて、顧客の若返りが起こっています。これに対応する形で、外商部門の接客手法も変化してきている面があります。

 具体的には、オンライン対応の増加です。コロナ禍で人と人との接触が制限された影響もあり、それ以来直接お客様のお宅に訪問する機会が減少しました。苦しい時期でしたが、その中で接客ツールとしてLINE WORKSの活用が始まり、お電話やメールなども含めアポ取りから商品がお手元に届くまで、お会いせずに完結することが珍しくなくなりました」

 古くから続く外商も、時代や顧客の変化に対応した進化を遂げているということだ。その大きな要因である、若年富裕層の増加にはどのような背景があるのだろうか。

「外商部門では2021年から、外商カードへご入会のハードルを下げるためその具体的な施策として、ネット上で外商とのお取引をお申込みいただける『オンライン入会』を開始しました。それ以前は、すでに外商でお取引いただいているお得意様からのご紹介であったり、あるいは当社のほうからご招待させていただいたりと、入会にハードルがありました。それを取っ払って、どなたでもお申込みいただけるように仕組みを大きく変えたのです」

 ネットで「大丸松坂屋百貨店 外商」というワードで検索してみると、外商サービスが利用できる「大丸松坂屋お得意様ゴールドカード」の入会ページがヒットする。これに申し込むことで、誰でも外商の門をたたくことは可能だ。ただし外商カードの発行には審査があり、実際には誰でも入会できるわけではないという点で、引き続き外商のステータスやサービスのクオリティは保たれているという。

「若いお客様ですと、なかなかお知り合いからの紹介で入会していただくことは難しいですし、こちらからご招待するきっかけも少なくなります。また、仮にお知り合いをご紹介していただいたとしても、その方が審査で入れなかったりすることがないわけではありません。このような事情もあって、人のつながりの中で比較的お客様とご縁をいただくのは難しかったんです。オンラインで門戸を開いたことでこうした制約が取り払われて、取引をご希望される若年富裕層とのニーズが合致した結果、ご利用の増加につながったと考えています」

成長のカギを握る「若年富裕層」とは?

 若い時分から手厚い外商サービスを利用できるのは、うらやましいの一言だ。そんな彼・彼女たちには、どんなバックグラウンドがあるのだろうか。瀬尾氏によると、その属性は大きく3つに分かれるという。

「もちろんいろんな方がおられるのですが、その中でも多いのは、親御さんの世代から外商をご利用いただいている方です。ご本人も外商に慣れ親しんでいて、お子様が成長・自立されるなかでご自身が入会されるという流れですね。こういう方は30代、20代でもおられます。

 このほか、ご自身で起業をして事業で成功されて、外商にご入会される方も少なからずいらっしゃいます。あとは医師や弁護士、税理士といった、資格職の方も多いです。こういった方々はとにかくお忙しいので、自分が店舗に出向く必要がなく、係員がご提案やお取り寄せなどこまめに動いてくれる外商のサービスを魅力に感じて、ご入会いただいていることが多いと思います」

 外商のお得意様は、ニーズをとらえて提案をしてくれる「コンシェルジュ」、そして自分に成り代わって動いてくれる「エージェント」の面に魅力を感じているようだ。その上で、百貨店が外商お得意様に提供できる価値として、「安心・安全」が非常に大きいと瀬尾氏は強調する。