「食べログ離れ」どころか売上は毎年20%成長…徹底したアプリ改善と店舗支援

 私たちは2020年頃から、サイトやアプリからシームレスに予約がとれるお店を増やすため努力を重ねてきました。例えばシステムはお店に無料で提供し、手数料はネット予約をした上で実際にご来店いただいたお客様の人数に応じていただいています。これならお店にリスクはありません。

 さらに、導入時にはスタッフが全国のお店に手厚いサポートを実施しています。

――飲食店の経営者の中には、IT機器を扱うのが苦手な方も多いでしょうからね。

鴻池氏 飲食店さんがDXを不安に感じるのは、オペレーションが可能かどうかなんです。そこで当社は「オンボーディングチーム」が1時間以上かけ、お店の方と一緒にネット予約の初期設定を行い、操作方法のレクチャーまでさせて頂く、といった手厚いサポートを1軒1軒徹底しています。

 こうして予約がとれるお店が増えると、ユーザーは「食べログならそのまま予約できる」と使ってくれるようになり、ユーザーが増えれば、「うちにも導入したい」と言って下さる飲食店さんが増えます。そんな、いいスパイラルに入っているのです。

――コロナの頃から将来を見越して実施した戦略が当たった、ということですね。

鴻池氏 はい。食べログを便利に使っていただくためには、いかに基本的なことをちゃんとやるかが大切なんです。コンテンツが充実し、UI(ユーザーインターフェース)が使いやすく、アプリも速く動く……こういったことの積み重ねで多くの方にご利用いただけている、という今があります。

 また、お店選びの参考になる口コミを多数集めることにも努力を重ねています。例えば口コミを投稿して下さる方のための「食べログレビュアーアワード」や、口コミ投稿すると最大1万ポイントが当たるキャンペーンの実施などが挙げられます。

一つひとつの口コミを確認するなど運用には非常に注力

――他の口コミメディアと比較して、口コミの質の違い、というものはあるのでしょうか。

鴻池氏 当社の口コミには満足した内容も不満足だった内容も、両方掲載していますが、「誹謗中傷」は掲載されないという特徴があります。なかには「それ(誹謗中傷)も含めて読みたい」というユーザーもいますが、見て不愉快になることがないよう、一つひとつの口コミを確認するなど運用には非常に注力しています。その点に安心感を持つユーザーも多いんです。

――そういった細やかな対応は「Googleマップ」のようなグローバル企業のサービスにはない特徴ですね。

鴻池氏 加えて、詳しいレビューを書かれる方が多いのです、口コミを見ていただければ感じられると思いますが、純粋に「素敵な体験を伝えたい」という方が多く、お店の歴史や雰囲気、料理についての細やかな情報、お写真など、読む人にとって参考になる情報をお寄せくださっています。

 参考になる口コミを書くとフォロワーがついたりいいねが送られたり、といったことがあるため、レビュアーの方たちのモチベーションも高いのかな、と感じます。

――では最後に、今後、実施していきたいことは。

鴻池氏 インバウンド対応をより充実させていきたいですね。食べログ多言語版では、英語、中国語の簡体字・繁体字、韓国語でインバウンド予約が可能です。また食べログの店舗会員向けに、「インバウンド向けモバイルメニュー」というサービスも実施しています。来店した訪日外国人のお客様がスマートフォンで専用QRを読み取ると、外国語に翻訳されたメニューを閲覧できるもので、店舗会員であれば無料でご利用いただけます。一般的に使われている翻訳アプリも便利ですが、当社のサービスは飲食店での利用に特化しているため翻訳の精度が高く、お店の方からも「助かったよ」と高く評価されているんですよ。