総合商社もこぞって出資、「夢の技術」核融合発電が実用化目前?京都フュージョニアリングに聞く

気になる中国の追撃

 先月、中国が開発を進めている核融合実験装置「全超伝導トカマク型核融合エネルギー実験装置(EAST)」が、1億度の高温プラズマを1000秒間維持することに成功し、これまでの世界記録を更新したとのニュースが話題になった。EASTはITERの補完的な実験装置として、プラズマ制御技術や加熱方法、材料耐性の検証などを担当しており、将来的な商業用核融合炉につながる次世代実証核融合炉「CFEDR(China Fusion Engineering DEMO Reactor)」の開発にも直接つながると見られている。太陽光発電のときの苦い記憶があるだけに、多くの国にとって中国の存在は脅威に映る。

「基本的には、ITERが世界最先端の技術。中国の技術は進んでいるが、これはITERでの知見を活用したもの。中国は『BEST』という計画を発表しており、2027年にも新しいプラントができると発表している。ただ、中国の計画はサプライチェーンを含めて構築するという形になっているので、プラントを作るお金と意思があるところにサプライチェーンは全部寄っていく。日本が何もしなければ、核融合産業も中国やアメリカのものになる」

 昨年3月、核融合エネルギーの産業化を目指す「一般社団法人フュージョンエネルギー産業協議会」(J-Fusion)が設立された。同協議会は、これまでのような学術としての核融合研究ではなく、それを実際に社会に活用するための取り組みを推進する。

 中国は国家予算で取り組み、アメリカには巨大な資金調達マーケットがある。日本は確かな技術力で調達するしかない。

(文=横山渉/ジャーナリスト)