「天神ビッグバン」余波で北九州に脚光…不動産価格高騰の中、移住の波

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 北九州市の新築マンション価格は、2014年に坪単価120万円を突破し、2022年には150万円を超えた(東京カンテイ調べ)。また、北九州市の住宅地平均価格は2015年の平米あたり5万4200円から2025年には6万2200円へ上昇(北九州市地価調査)している。

「やはり価格を抑えたいという理由で弊社の物件を選ばれる方が多いです。不動産価格が高騰し過ぎて新築には手が届きにくくなっています。また、一極集中による福岡市の価格高騰を背景に、北九州市にシフトする方も増えています」(同)

 福岡市では「天神ビッグバン」をはじめとする再開発によって市中心部の地価が急上昇しており、その反動で北九州市の需要も高まっている構図だ。

地元で地盤を築けた理由

 創業から25年、アンサー倶楽部は北九州市で圧倒的な知名度を誇る。不動産業界には長年営業してきた事業者も多い中で、なぜ同社が先行して地盤を確立できたのか。

「現在では毎月約100件の取引を仲介しています。不動産情報だけでなく、ローンの知識や最適な返済方法など、お客様に寄り添った情報提供を心がけています。情報力が支持につながり、口コミで弊社が選ばれるようになったと感じています。また、市内各所に『アンサー倶楽部』の看板を掲げているので、知名度の獲得にもつながったのではないでしょうか」(同)

 同社では顧客アンケートを全社員で共有し、課題が見つかれば迅速に改善に着手する体制を整えている。採用においては学歴よりも「人間力」を重視。挨拶や明るい対応を徹底し、地域からの信頼を築いてきた。

 さらに、上場企業としてのガバナンス体制を生かし、社員教育・情報管理・接客品質の標準化にも注力。

 また、元ソフトバンクホークス選手・柴原洋氏を起用したテレビCMなど、積極的な広告展開も知名度向上に寄与している。

コンサルティング力の強化へ

 アンサー倶楽部は来年までに北九州市で3店舗を増設し、地盤強化を図る方針だ。将来的には福岡エリアでも展開し、「地域No.1」をスローガンに、仲介に加えて賃貸管理やリフォーム事業も強化する計画である。

「不動産市況は読みづらい部分もあるため、従来の仲介業だけでなく新しいサービスが必要だと感じています。特に注力したいのは、ローンや売却時期の相談、相続や贈与といったコンサルティング分野です。社員に宅建以外の資格を取らせるほか、司法書士などの士業と連携し、法務的な相談にも応じられる体制を整えたいと考えています」(同)

 不動産価格の高騰が続く一方で、地方では人口減少による取引数の減少が課題になりつつある。

 アンサー倶楽部は「売る企業」から「相談に乗る企業」へと進化を図り、法務・金融・相続を含めた総合的な不動産コンサルティング企業として、北九州から新たなモデルを打ち出そうとしている。

(取材・文=山口伸/ライター)