「ウーバー×日産参入で激変するロボタクシー市場…三つ巴の競争構造と制度課題

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●この記事のポイント
GM・クルーズ撤退で空いた日本のロボタクシー市場に、ウーバー・日産・英ウェイブが参入し、2026年後半に東京で試験運行を開始。HDマップ不要のエンドツーエンドAIが都市適応力で優位とされる一方、国内ではnewmo・ティアフォー連合や既存大手も参戦し三つ巴に。ドライバー不足(2019年比約19%減)や規制、責任問題を背景に、タクシー業界はプラットフォーム依存との緊張関係に直面する。

 2024年末、日本の自動運転業界に冷水が浴びせられた。米ゼネラル・モーターズ(GM)が傘下のクルーズを通じて進めていたロボタクシー事業を撤退し、これに伴ってホンダとの協業計画も白紙に戻ったのだ。「2026年初頭に東京都心でレベル4の無人タクシーサービスを開始する」という計画に、ホンダはクルーズへ約1,300億円を投じていたとされる。

 その空白が埋まるまで、さほど時間はかからなかった。

 2026年3月12日、渋谷区・東郷記念館で行われた共同会見。日産自動車、英国の自動運転スタートアップ「Wayve(ウェイブ)」、そして米Uber Technologiesの3社が覚書(MOU)を締結したと発表した。ウェイブのエンドツーエンドAI自動運転システムを日産の車両に統合し、ウーバーの配車プラットフォームと接続する仕組みで、2026年後半に東京でロボタクシーの試験運行を開始するという。ホンダ・クルーズ連合が狙っていた「都心のロボタクシー」という空白地を、今度は別の顔ぶれが埋めようとしている。

●目次

「三つ巴」の勢力図:2026年4月現在

 日本のロボタクシー市場は今、性格の異なる3つの勢力が布石を打ちながら対峙する構図に入った。

第一の勢力:ウーバー・日産・ウェイブ連合(グローバル型)

 試験運行ではウェイブのAI Driverを搭載した日産「リーフ」をウーバーのプラットフォームを通じて提供する。初期段階では安全確保のための人間のドライバーも同乗する。プラットフォームはウーバー、車両は日産、AIは英国スタートアップという「AI外注型・水平分業モデル」だ。本プロジェクトはウェイブとウーバーが発表したロンドンを含む世界10都市以上へのロボタクシー展開計画の一つであり、東京は世界展開の戦略拠点として位置づけられている。

第二の勢力:newmo・ティアフォー連合(国内発・民主化型)

 スタートアップのnewmo(ニューモ)は大阪府内でタクシー会社3社(岸交、未来都、堺相互タクシー)を傘下に収め、実運行基盤を確保した。4月21日、newmoは大阪府堺市と共同でデジタル庁が募集する「自動運転社会実装先行的事業化地域」に選定されたと発表。全国3カ所の選定のうちの1カ所として、4月下旬より自動運転タクシーに関するデータ収集を含む実証実験を開始する。まずレベル2でスタートし、2027年度にはレベル4の認可取得を目指す方針で、実験エリアの堺浜は幅の広い直線道路が多く、自動運転の難易度が比較的低い。オープンソースOS「Autoware」を擁するティアフォーと協業し、特定企業が技術を独占しない「民主化モデル」で差別化を図る。

第三の勢力:日本交通・GO等の既存大手(ハイブリッド型)

 自動運転に移行しつつも、プロドライバーのホスピタリティと安全性を強みとして差別化を図る路線だ。配車アプリ「GO」との連携やウェイモとの実証実験も模索されており、完全無人化への転換を急がず「人+テクノロジー」の融合で収益の安定を優先する戦略をとる。