時価総額700億円・赤字48億円、ティアフォー上場の本質…自動運転の主導権は誰が握るか

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●この記事のポイント
自動運転ベンチャー・ティアフォーが2026年7月22日、東証グロースに上場。想定時価総額は約645億〜700億円だが、2025年9月期の純損失は約48億円。オープンソースOS「Autoware」を無料公開し、量産支援やライセンスで収益化する戦略と、テスラ・NVIDIA・日本の自動車産業への影響を解説する。

 2026年7月22日、名古屋大学発の自動運転スタートアップ、ティアフォー(証券コード593A)が東証グロース市場に上場する。想定発行価格は1株1015円、想定時価総額は約645億~700億円(算出方法により報道値に幅がある)。一方で直近期(2025年9月期)の連結決算は、売上高64.1億円に対し親会社株主に帰属する当期純損失は約48億円。売上を上回る規模の赤字を抱えたまま、なぜこれほどの評価額がつくのか。答えは「自動運転タクシー会社」という見立てそのものにある。ティアフォーが売っているのは車ではなく、業界の「OS」だからだ。

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赤字と評価額のギャップは何を意味するか

 有価証券届出書によれば、2025年9月期の売上高は前期比65.6%増の64.1億円、経常損失は55.0億円に拡大、純損失は48億円と前期とほぼ同水準で推移した。手元現金は69億円、営業キャッシュフローは72.8億円のマイナスで、今回の調達(吸収金額約250億円)は同社にとって資金繰り上の生命線でもある。

 注目すべきは評価額の推移だ。同社は2024~2025年にいすゞ自動車(60億円)、スズキ(10億円)、JR東海(10億円)、三菱商事(5億円)などから1株2000円で出資を受けている。今回のIPO想定価格1015円はその約半値であり、上場前評価(完全希薄化ベースで約1044億円)に対しIPO時価総額は約3割の「ダウンラウンド」となる。自動運転を巡るグローバル競争の激化と資金調達環境の変化を映した数字といえるだろう。

 それでも投資家がティアフォーに注目するのは、目先の損益ではなく、自動運転ソフトウェアの「事実上の標準」を握るポジションへの期待だ。

なぜ無料で配って儲かるのか――Autowareという仕掛け

 ティアフォーの核にあるのは、自社開発の自動運転ソフトウェア「Autoware」を2015年からオープンソースで公開してきた戦略だ。現在、世界500社以上が採用しているとされ、OEM・Tier1サプライヤーとの協業先は2026年5月時点で18社に上る。

 無料で公開する理由は単純で、業界標準の座を先に取ってしまえば、後から追随する企業もそのルールの上で開発せざるを得なくなるからだ。パソコンにおけるLinux、スマートフォンにおけるAndroidと同じ構図である。ティアフォー自身の収益は、Autowareそのものではなく、車両搭載パッケージ「Pilot.Auto」、クラウド開発基盤「Web.Auto」、ハードウェア一体型の参照設計「Edge.Auto」といった周辺領域と、公的委託・研究機関向けの「Solution Service」、自動運転バス等の実証運用を担う「Mobility Service」、OEM向け量産開発の「Development Service」という3事業で稼ぐ。2025年9月期の売上構成比はSolution 43.9%、Mobility 35.4%、Development 20.8%で、将来的には量産車1台ごとの課金となるライセンス・ロイヤルティモデルへの展開も視野に入る。