
●この記事のポイント
三菱UFJ・三井住友・みずほなど大手5行の2026年3月期純利益は合計5兆8351億円と初の5兆円超え、3年連続で過去最高益を更新した。日銀の利上げによる利ざや拡大とM&A手数料の伸びが背景。中でもみずほは初の1兆円超(1兆2486億円、41%増)を記録し、システム障害からの復活を印象づけた。
2026年5月、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)、みずほフィナンシャルグループ(みずほFG)のメガバンク3社が2026年3月期(2025年度)決算を発表した。3社合計の純利益は前期比33.9%増の5兆2588億円。りそなホールディングスと三井住友トラストグループを加えた大手5行合計でも、純利益は前期比33%増の5兆8351億円と、初めて5兆円の大台を突破した。5行そろって、あるいはそれに準じる形で過去最高益を更新するのは3年連続となる。
「銀行冬の時代」と呼ばれ、超低金利のもとで収益力の伸び悩みが続いてきた業界が、なぜここまで稼げるようになったのか。そして3メガバンクの中で長らく「一人負け」と揶揄されてきたみずほFGが、純利益1兆2486億円(前期比41.0%増)と初めて1兆円の大台に乗せ、急速な復活を遂げているのはなぜなのか。決算データと業界動向から、その構造を読み解く。
●目次
① 利ざやの復調——日銀の金融政策正常化
最大の要因は、日本銀行による金融政策の正常化である。日銀は2024年3月にマイナス金利政策を解除した後、段階的に利上げを進め、2025年12月に政策金利を0.75%へ、2026年6月には1.0%へと引き上げた。1.0%という水準は1995年以来、約31年ぶりの高さとなる(7月の金融政策決定会合では6月利上げの影響を見極めるため据え置きとしたが、日銀は今後も段階的な利上げ方針を維持している)。
この結果、各行では預金金利と貸出金利の差である「預貸金利ざや」が拡大した。貸出金利の上昇幅が預金金利の上昇幅を上回る構造が生まれ、本業の収益力を示す資金利益が大幅に改善したのである。SMFGの試算によれば、政策金利が0.25%上昇すると初年度で約1100億円の増益効果があるとされる。企業の設備投資やM&Aを背景とした旺盛な資金需要が貸出残高そのものを押し上げたことも、増益を後押しした。
② 非金利収入(手数料ビジネス)の急拡大
金利変動の影響を受けにくい非金利ビジネスの伸びも見逃せない。国内企業の事業再編・事業承継・M&Aアドバイザリー業務に伴う手数料収入が各行で急増したほか、新NISAの浸透や株高を背景に、個人向けの資産運用・信託ビジネスも収益を押し上げた。
③ コスト構造改革と政策保有株の売却
長年進めてきた店舗削減やデジタル化(DX)による経費率(OHR)改善に加え、企業統治改革の流れの中で進んできた政策保有株(持ち合い株)の売却益計上も、各行の利益をかさ上げしている。りそなHDでは純利益が前期比21.3%増の2587億円となり、13年ぶりの高水準を記録した背景にも、この株式売却益の寄与が指摘されている。
なお、この勢いは決算期をまたいでも続いており、2026年4〜6月期の大手5行合計純利益は前年同期比42%増の1兆9564億円と、同時期として4年連続で過去最高を更新した。