コンビニ大手3社は、レジの効率化において異なる戦略を取ってきた。
セブン-イレブンが主軸とするのは、店員が商品をスキャンし、客は支払いのみを行う「セミセルフレジ」方式だ。会計だけを客に委ねることで、レジ待ちの列自体は残りやすいものの、客が操作に戸惑う場面は少なく、1人あたり約20秒の時間短縮効果があるとされる。近年は空中ディスプレイを使った完全セルフレジの実証実験も進めており、2025年2月末時点で全国17店舗まで拡大している。
ローソンは、客自身のスマートフォンで商品をスキャン・決済する「スマホレジ」と、店舗設置型のセルフレジを併用する方式を採る。自分のペースで買い物ができる利便性がある半面、アプリの利用が前提となるため、スマートフォン操作に慣れた客層に恩恵が偏りやすい面がある。
これに対しファミリーマートの新型レジは、1台の端末を状況に応じて有人・セルフに即座に切り替えられる点が特徴だ。混雑時は全台をセルフ稼働させてスループットを最大化し、年齢確認が必要な商品の購入や、操作に不安がある客には有人対応に即座に戻す。「セルフか有人か」を店舗側が固定的に決めるのではなく、需要に応じて動的に配分する発想だ。3社のアプローチを整理すると、以下のようになる。
●チェーン店、主なレジ方式
・強み
・残る課題
セブン-イレブン セミセルフレジ(スキャンは店員、会計のみ客)
・客の操作負担が少なく、1人あたり約20秒短縮
・スキャン工程が残るため、レジ前の待ち列は完全には解消しにくい
ローソン スマホレジとセルフレジの併用
・客が自分のペースで会計でき、店舗側のレジ負荷そのものを減らせる
・アプリ利用が前提となり、操作に慣れた客層に恩恵が偏りやすい
ファミリーマート(新型) 有人・セルフのリアルタイム切り替え式
・混雑時は全台セルフ化、年齢確認等が必要な客は即座に有人対応と、需要に応じて柔軟に配分可能
・端末の入れ替えに伴う初期投資と、店舗オペレーションの再教育コストが発生する
3社が同じ「レジ効率化」という目的を掲げながら、実装のアプローチが三者三様である点は、コンビニ各社が置かれている立地特性や客層の違いを反映しているともいえる。
流通コンサルタントの永田由紀氏は次のように分析する。
「コンビニのレジ効率化は、これまで“セルフ化率をどこまで引き上げるか”という一方向の議論になりがちだった。しかしファミリーマートの新型レジは、セルフと有人を対立させず、需要変動を吸収する“バッファ”として端末を使う発想に転換した点が興味深い。台数を増やさずに実質的なレジ処理能力を引き上げられるなら、投資対効果は高いはずだ」
顧客体験の面では、二つの変化が見込まれる。一つは、混雑時にレジの実質的な処理能力が高まることで、朝の通勤・通学時間帯に発生しがちな「レジ待ちの大渋滞」が緩和される可能性があることだ。特に都心部やオフィス街の店舗では、限られた床面積の中でレジ台数を物理的に増やすことは容易ではない。1台の端末を有人・セルフの二役でこなせるようになれば、スペースを増やさずに処理能力だけを引き上げられる意味は小さくない。
もう一つは、「セルフに並ぶべきか、有人に並ぶべきか」という客側の迷いが解消される点である。従来は、セルフレジの列が短くても、購入したい商品が対象外だと分かった時点で有人レジに並び直す必要があり、かえって時間をロスするケースもあった。どの端末に並んでも店舗側の判断で柔軟に対応してもらえるなら、顧客が事前に判断する必要はなくなり、心理的なストレスも軽減されるだろう。