需要の側でも変化が起きている。資源エネルギー庁は、米グーグルが自社のデータセンター向けに地熱発電所から電力を直接購入している例を紹介している。24時間使えるクリーンな電源に対しては、はっきりとした買い手が存在するということだ。
三井不動産はリリースで、技術・施工・電力活用といった領域での協業や、「地域特性を活かしたまちづくり」との連携を掲げている。電気の買い手を自前で抱え、街をつくる力もあることは、ほかの発電事業者にはない強みだ。
ただ、指宿でつくった電気を都市部のビルに届ける場合は、送電網を経由することになる。実際には電力購入契約(PPA)などの形をとることになるだろう。
「デベロッパーにとって地熱の価値は、発電事業そのものより、テナント企業の再エネ調達ニーズに応えられる電源を持つことにあります。ただ、地熱発電所の近くで工場やデータセンター、宿泊施設を一体で開発する地産地消型のほうが、送電の制約を受けにくく現実的かもしれません。地域にとっても、雇用や産業が生まれてこそ受け入れる意味が出てくるはずです」(同)
両社の取り組みを「どちらが日本を救うか」という対決として見る必要はない。開発リスクの中心にあった「熱水があるかどうか」という問題を、異なる方法で外そうとしている点に本当の意義がある。
これから確かめるべき点は3つある。三井不動産の実証で、出力と発電コストがどの水準に収まるか。温泉法上の扱いがどう整理されるか。大成建設のFSで、CO2の調達と安全管理がどこまで具体的に描けるか。
資源エネルギー庁も強調しているとおり、次世代型であっても地域との共生が欠かせないことは変わらない。技術が地熱の壁をどこまで崩せるか。その最初の答えは、2020年代の終わりに見えてくる。
(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=佐伯俊也/エネルギー政策研究家)
【主な参照データ・出典】
三井不動産ほか ニュースリリース(2026年10月14日)
大成建設 FS着手のお知らせ(2026年9月8日)/2021年の開発着手リリース
資源エネルギー庁「地熱発電も『次世代』へ!」(2026年6月5日)
共同通信配信(高知新聞、2026年10月16日)