元奴隷少年が【黒曜】になるまでの戦記
ここはどこだ。青い塊を見上げて呟く言葉は、いつも同じだった。いつからここに、いつまでここに。答える声はない。ただ、青い物体は決まって顔をのぞかせるし、決まって沈んでしまう。
俺の隣、石壁を隔てた隣には、同じように青い物体を見上げる子がいる。でも、これは運命や絆でもない。いつもそこにいて、隣りにいるだけだ。それだけの存在だった。
それは、あの夜空を支配する穏やかな物体と同じだ。あれは、月という名前らしい。彼女は自分の名前も知らないのに、あの夜天を漂う青い塊の名前を教えてくれた。ただ、それだけだ。俺に月の名前を教えてくれただけの存在。
精霊世界リテリュス。七つの大陸からなる世界。転輪聖王リュンヌが、創造した世界。その中でも一番大きな大陸アンフェールでは、建国以来ふたつの国が争っていた。800年以上も続く争いに、大きな変化が訪れようとしている。勝者は、イストワール王国か? ターブルロンド帝国か?
争いの闇にとらわれていた道化師は、高貴なる少年の手によって救われた。道化師は、その手を掴む。
次は、俺に真昼の空に浮かぶ塊の名前を教えてくれないか? 太陽だって? そうではない。黒い塊だ。あの名前を俺に教えてほしい。
観客もいない道化の戦いが、ここにはじまった。
俺の隣、石壁を隔てた隣には、同じように青い物体を見上げる子がいる。でも、これは運命や絆でもない。いつもそこにいて、隣りにいるだけだ。それだけの存在だった。
それは、あの夜空を支配する穏やかな物体と同じだ。あれは、月という名前らしい。彼女は自分の名前も知らないのに、あの夜天を漂う青い塊の名前を教えてくれた。ただ、それだけだ。俺に月の名前を教えてくれただけの存在。
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観客もいない道化の戦いが、ここにはじまった。
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