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第13章 魔獣と古代人

21【トレスとの友好条約2】

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※だいぶ更新が遅れてしまい申し訳ありませんでした。

転職やらなんやらで、慌ただしい生活を送っております。

第13章前回までのあらすじ。

モーグル王国に突然現れた大量の凶悪な魔物と世界を滅ぼすとも言われる最悪の魔獣キメラ。

どういうわけか、キメラは他の魔物を一瞬で駆逐した後、消えてしまう。

モーグル王国から調査を依頼された国際連合は世界的な危機と捉え、国際連合軍を組織しこれに対応しようとした。

一方、モーグル王国に向かったマサルは、調査をしている中でクラシエルという謎の青年を出会う。

クラシエルは10光年離れた別の星の人間だった。

クラシエルより、彼らの星は3000年前にマサル達が住む星から移住した者達が作ったのだという。

その星にある国トレスは高い文明を誇っていた。

トレスで急速に勢力を拡大している新興宗教「サーガの光」の教祖がマサル達の星(クラシケラ達はマルス星と呼ぶ)から人身売買を目的とした植民地化を狙っていることを聞いたマサルは、それを阻止すべく国際連合軍やランス・イリヤに指示を出して全世界中に警戒網を引く。

同時にマサルは自ら製造していた宇宙船ムサシ号に乗って、トレスに向かった。

トレスでクラシケラ達と合流したマサルは、「サーガの光」教祖のシラカハヤの捜索を行い、神殿廃墟後の地下に潜んでいたシラカハヤを発見・拘束する。

シラカハヤの自白によりトレスで発生していた大規模な人身売買騒動から端を発したマルス星植民地化計画の全貌が明らかになり、トレスの王侯貴族を含めた大量の逮捕者を出した歴史的な難事件は解決することとなった。


マルス星に帰還し事の顛末を説明した後、平穏な生活を取り戻したマサルの元にクラシケラの上司であるミラベスタが訪れトレス王との会見を求める。

マサルは家族を連れてトレスに向かい、トレス王家と親睦を深めながら、友好条約締結に向けての話し合いを行うこととなった。

過去の因縁を気にするトレスの宰相スタグネイトに対し、彼らの始祖シンゲンがなぜこの星に移住してきたのかを説明したマサルに、全てのわだかまりを解いたスタグネイト達だった。







<<マサル視点>>
トレスとの友好条約については、順調に話し合いが進んでいる。

宰相のスタグネイトさんもシンゲンさんの件が明確になって俺達の国との文化交流について積極的になってくれたようだ。


スタグネイトさんの話によると今回の「サーガの光」事件はトレス王国だけでなくこの星全体の国々に波及し、今後こう言った事件が起こらないように、連携を取ることで一致したそうだ。

「ラスク星ではマサル様を中心とした国際連合なる全世界の国々が加盟する国際協力組織があると聞いております。
我が星でも、今回の事件を通じて各国との調整を行っておりますが、実際の運用ベースはこれから構築していくことになります。

この辺りについても、ご教授頂ければと思っております。

当然、ラスク星との交流もこの国際的組織を経由した形でお互いの各国間の利害が出ない形にしたいと思っておりますが如何でしょうか?」

「スタグネイト宰相、それは良い考えだと思います。わたし達の星でも各国間の格差はもちろん残っていますし、人間だけでなく亜人や獣人の国もあります。

今回の交流が特定の国同士に偏ることなく両星の全ての国々が平等に恩恵を享受できるようにするためには、スタグネイト宰相がご提案された方法が最も良いでしょう。

ただ、どんなに良い組織でも時が経つと腐敗は発生するものです。これはわたしが元いた地球でも起こっていたことです。

地球での事例を含め説明させて頂きますので、お互いしっかりとした体制作りをしていけたらと思います。」


「おおっ、さすがはシンゲン様と同郷のマサル殿だ。我々も将来に向けた危惧としてそれを考えておった。

今回の事件の顛末を鑑みても、マサル殿の知恵と行動力は我が始祖シンゲン様と比肩するものであろう。

是非、ご教授頂きたい。

また、お互いの国際組織を統合し、我等は兄弟星として共に発展していきたいものだ。」

トレス王も興奮気味だ。


「そうねえ、それも良いと思うわあ~!」

その場が少し暗くなったかと思うと部屋の一部がいきなり輝きだした。

「マリス様。」

「マサルさん、昨日ぶりね。」

「マリス様?」

「皆さん、初めましてよね。この星も作ってから300年くらいは皆わたしを信仰してくれていたんだけど、最近はすっかり廃れていたから、わたしも疎遠になっていたのよね。」

「マリス様、この星ではシンゲンさんが神様として定着しているから仕方ないですよ。」

「マリス様でございますか。わたしはシンゲン様の子孫としてこの星の運営をさせて頂いておりますトレクシスと申します。

この星のマリス様に対する信仰が途絶えてしまって、代々この星の指導を司ってきた一族を代表してお詫びさせて頂きます。」


「いいのよ、トレクシスさん。別にあなたのせいじゃないし、わたしもマルス星の復活に忙しくて、この星をシンゲン君に任せっぱなしだったしね。

まあ、シンゲン君も神見習いとして頑張っているからねえ、シンゲン君信仰で構わないんじゃない。」

「マリス様、シンゲンさんって、そちらの世界に居られるのですか?」

「そうよマサルさん。シンゲン君もね、いろいろ頑張ってくれたから、ウチ(異世界管理局)のアルバイトとして入ってもらったのよ。

とっても頑張ってるから、次の人事編成で正社員になる予定よ。」

俺とマリス様のひそひそ話しに参加しきれないトレス王以下一同だったが、シンゲンさんの神見習いの話しは聞こえたみたいだ。

「マ、マリス様! 本当にシンゲン様は神になられたのでしょうか?」


「そうね、まだ創造神ってわけじゃないけど、実際に新しい世界を作る時には主力メンバーとして頑張ってくれているわよ。

この前は、山や川を作る仕事を任されていたみたいだし。」

「「「おおおおおおー」」」

トレス王以下3名は涙を流して喜んでいた。

「みんな喜んでいるみたいね。シンゲン君にも教えてあげよう。きっと喜ぶわね。」

「シンゲンさんも頑張っておられるんですね。すごいなあ。」

「何言ってんのよマサルさん。あなたは望めば、すぐに正社員採用されることになっているのよ。

ウチの課長なんて、マサルさんがいつ来るのかと首を長くして待っているのに。

で、いつ来る?」

「えー、僕には神様になる気なんてありませんよ。家族達と平凡に暮らしていければそれで幸せなんですから。」

「マサルさん、ほんとにあなたは無自覚なんだから。あの程度の活躍だったシンゲン君でさえ、こんなに神格化されているのよ。

あなたがそんなもので終わるわけないでしょう。

わたし達も待っているんだから早くこちらに来なさいよ。

後1000年くらいは待ってあげるから、いっぱい今世を楽しんでからでいいけどね。


おっと、スマホが鳴っているわ。じゃあねマサルさん。」



眩い光と共にマリス様は消えていった。



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