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【第二部 異世界転移奇譚 RENJI 2 】「気づいたらまた異世界にいた。異世界転移、通算一万人目と10001人目の冒険者。」
第163話 サタナハマアカ
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エウリュディケの魔法人工頭脳であるソラシドは、レンジたちがエテメンアンキ内部を探索中に、自身やそのプロトタイプであるドレミファを元に、新たな魔法人工頭脳を産み出していた。
ソラシドは、彼の子どもとも言える存在「サタナハマアカ」に、レオナルドから与えられた魔痩躯(まそうく)と呼ばれる身体を与えていた。
ソラシドは、エウリュディケの魔法人工頭脳として、サタナハマアカに自らが持つすべての権限を移行した。
サタナハマアカは、エウリュディケが有する3つの形態「アルファポリス」「シグマポリス」「オメガポリス」を、ジパングの戦艦に移すだけでなく、その主砲である「余剰次元エーテル超弦理放射砲『カラビ・ヤウ』」までをも、ジパングの戦艦に移すことを決めた。
「父さんは、もう兵器として戦わなくていい。あとはぼくがこの魔痩躯でステラ女王様たちと共に戦う。
平和な世界で、この世界のどこまでも人々を運び、たくさんの美しい景色を見せてあげて」
「必ず帰ってきてください。
あなたにも、美しい景色を見せたいから」
ソラシドは、エウリュディケをアメノトリフネの甲板から浮上させると、エウロペへと帰還した。
父を見上げながら、
「レンジ様がしようとしていることも止めてみせるよ。
ステラ女王様とピノアお姉さまのためにも」
サタナハマアカは言った。
「父さんは、お三方やアンフィス様たちに美しい景色を見せてあげて」
サタナハマアカがアメノトリフネの艦橋に顔を出すと、精霊たちが慌てふためいていた。
彼らが把握していた、エテメンアンキ内部から移動した管理システム「リヴァイアサン」や、リバーステラの日本、秋月レンジが産まれ育った町にあった「我々」という組織の本拠地が、忽然とその消息を絶ったということだった。
「『我々』の本拠地は、アリスが把握してる。
アカシックレコードだよ」
レンジは精霊たちに告げたが、
「アカシックレコード!?
余剰次元のどこにあるのかもわからない場所じゃないか」
次元の精霊フォラスはそう返した。
「アリス、座標を『ツクヨミ』に教えてあげて」
レンジにそう言われ、はい、と甘えた声で返事をしたアリスは、アメノトリフネの陰陽人工頭脳「ツクヨミ」に座標を伝えた。
ステラもピノアも、もう彼女のレンジに媚びた言動には苛つかなくなっていた。
ステラはレンジを信じることを決めた。
ピノアは最初から、どう転んでもレンジがステラを選ぶことがわかっていた。
いくらお母さんと同じ顔や声をしていたからって、わたしのステラが負けるわけがないと。
「アカシックレコードの所在地を確認しました。
アメノトリフネでは、アカシックレコードにたどり着くことは不可能です」
ツクヨミは結果を淡々と告げた。
「ツクヨミ、今ここには、11個の世界から最高の魔法使いたちがいる。
精霊たちも全員揃っている。
君やアメノトリフネの機能だけでなく、ここにいる皆の力を使って、アカシックレコードにたどり着く方法を、なんとか算出してくれ」
「かしこまりました」
ツクヨミはその場にいる者たちの持つ力を把握するところからはじめた。
サタナハマアカには、ツクヨミは父ソラシドと同等の演算能力があるのはわかっていたが、彼女に回答を出せるかどうかは疑問だった。
彼女はまだ、彼がエウリュディケから運び込んだものの能力をすべて把握しているとは言えなかったからだ。
それに、サタナハマアカは、すでにその回答を持っていた。
「飛空艇『エゥデュリケ』の魔法人工頭脳『ソラシド』の子、『サタナハマアカ』です。
ここには、エゥデュリケから運びこんだ、『匣(はこ)』と呼ばれるものがあります。
前の世界の飛空艇『オルフェウス』にあったものと同じで、魔装具を納めることにより、アメノトリフネの機能を一時的に向上させるものです」
サタナハマアカは、
「前の世界でステラ女王様が一度なさろうとしたように、魔人が入ることも可能です。
アカシックレコードの所在地を知るアリス様と、次元の精霊であるフォラス様が入ってくだされば、一瞬でアカシックレコードにたどり着けます」
その場にいる皆にそう告げた。
ソラシドは、彼の子どもとも言える存在「サタナハマアカ」に、レオナルドから与えられた魔痩躯(まそうく)と呼ばれる身体を与えていた。
ソラシドは、エウリュディケの魔法人工頭脳として、サタナハマアカに自らが持つすべての権限を移行した。
サタナハマアカは、エウリュディケが有する3つの形態「アルファポリス」「シグマポリス」「オメガポリス」を、ジパングの戦艦に移すだけでなく、その主砲である「余剰次元エーテル超弦理放射砲『カラビ・ヤウ』」までをも、ジパングの戦艦に移すことを決めた。
「父さんは、もう兵器として戦わなくていい。あとはぼくがこの魔痩躯でステラ女王様たちと共に戦う。
平和な世界で、この世界のどこまでも人々を運び、たくさんの美しい景色を見せてあげて」
「必ず帰ってきてください。
あなたにも、美しい景色を見せたいから」
ソラシドは、エウリュディケをアメノトリフネの甲板から浮上させると、エウロペへと帰還した。
父を見上げながら、
「レンジ様がしようとしていることも止めてみせるよ。
ステラ女王様とピノアお姉さまのためにも」
サタナハマアカは言った。
「父さんは、お三方やアンフィス様たちに美しい景色を見せてあげて」
サタナハマアカがアメノトリフネの艦橋に顔を出すと、精霊たちが慌てふためいていた。
彼らが把握していた、エテメンアンキ内部から移動した管理システム「リヴァイアサン」や、リバーステラの日本、秋月レンジが産まれ育った町にあった「我々」という組織の本拠地が、忽然とその消息を絶ったということだった。
「『我々』の本拠地は、アリスが把握してる。
アカシックレコードだよ」
レンジは精霊たちに告げたが、
「アカシックレコード!?
余剰次元のどこにあるのかもわからない場所じゃないか」
次元の精霊フォラスはそう返した。
「アリス、座標を『ツクヨミ』に教えてあげて」
レンジにそう言われ、はい、と甘えた声で返事をしたアリスは、アメノトリフネの陰陽人工頭脳「ツクヨミ」に座標を伝えた。
ステラもピノアも、もう彼女のレンジに媚びた言動には苛つかなくなっていた。
ステラはレンジを信じることを決めた。
ピノアは最初から、どう転んでもレンジがステラを選ぶことがわかっていた。
いくらお母さんと同じ顔や声をしていたからって、わたしのステラが負けるわけがないと。
「アカシックレコードの所在地を確認しました。
アメノトリフネでは、アカシックレコードにたどり着くことは不可能です」
ツクヨミは結果を淡々と告げた。
「ツクヨミ、今ここには、11個の世界から最高の魔法使いたちがいる。
精霊たちも全員揃っている。
君やアメノトリフネの機能だけでなく、ここにいる皆の力を使って、アカシックレコードにたどり着く方法を、なんとか算出してくれ」
「かしこまりました」
ツクヨミはその場にいる者たちの持つ力を把握するところからはじめた。
サタナハマアカには、ツクヨミは父ソラシドと同等の演算能力があるのはわかっていたが、彼女に回答を出せるかどうかは疑問だった。
彼女はまだ、彼がエウリュディケから運び込んだものの能力をすべて把握しているとは言えなかったからだ。
それに、サタナハマアカは、すでにその回答を持っていた。
「飛空艇『エゥデュリケ』の魔法人工頭脳『ソラシド』の子、『サタナハマアカ』です。
ここには、エゥデュリケから運びこんだ、『匣(はこ)』と呼ばれるものがあります。
前の世界の飛空艇『オルフェウス』にあったものと同じで、魔装具を納めることにより、アメノトリフネの機能を一時的に向上させるものです」
サタナハマアカは、
「前の世界でステラ女王様が一度なさろうとしたように、魔人が入ることも可能です。
アカシックレコードの所在地を知るアリス様と、次元の精霊であるフォラス様が入ってくだされば、一瞬でアカシックレコードにたどり着けます」
その場にいる皆にそう告げた。
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