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第3章 修学旅行で何も起こらないなんて誰が決めた? 前半:〇〇が黙っているわけがない

第31話 最終戦 その15

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 途中退室していたちとせの母がその手に握っていたもの。

 それはまさに今必要としていたものだった。

 そして同時に、千春が捨てたと言い張っていたもの。



 それを見た瞬間、顔を真っ青にしながらオロオロし始める千春。

 対する俺は怒りで静かに染まっていく。



「ちぃ~はぁ~るぅ~?」



 一音ずつ伸ばし、さらにだんだんと怒気が含まれていく。



「ひひひひひゃい!」

「お前さ、俺に向かってさっきなんて言った?」

「捨てました……」

「で、実物はあったわけだ。……それはどこにあったんですか?」

「どこってそりゃ、千春の棚の中にあったわよ。ノートで一緒にされているところに混ざり込んでたから、探し出しづらかったけどね」

「そういうことですか」



 これでもう確定である。

 さっき隠し事はしないと言っていたが、明らかに隠し事をしているということ。

 そもそも向こうが悪いからわざわざ呼びつけてると言うのに、自分たちが反省しているなら普通それは隠さない。

 仮に自分たちのほうが正しいと思ったのだとしても、それがあればある意味相手を黙らせる道具になるし、どちらにせよ隠すべきではない代物である。

 それをわざわざ隠してこの戦いに挑むというのは、果たしてバカなのか。



 ところで今ちょっとコメント欄を見てみると、なかなかに盛り上がっていた。



 そしてその中に。



『あまりストレスを掛け続けると、流産してしまうって聞いたことがあるんですけれど、大丈夫ですか?』



 というコメントを発見。

 言われてみれば、そういうことも習った。

 ただし、すでに千春は妊娠8ヶ月に達しようとしており。

 またストレスに感じるのなら本来来ないはず。

 さらに言えば、どうもストレスをあまり感じていないフシがあり。

 というのも、交際していた頃からずっとそうなのだが、千春は全てにおいて顔に大変出やすく、とくに精神状態に関しては非常に分かりやすい。

 そして今の所、ストレスを感じているというのは全く出ておらず、今はどっちかといえば投げやりになっている感じである。

 そんなんであるから、あまり気にせずいくことにした。



 話を戻して。



「なんでさっき捨てたと言っていたノートがお前の部屋から出てくるんだ?」

「……んぼうよ」

「なんだって?」

「1回言ったでしょ?」

「聞こえねぇんだよ!」

「私は自分の部屋に隠されている事自体が陰謀だと言ったのよ!」



 また飛び出た自分は悪くない論に。



「はぁ、なんでこいつは事実を曲げるんだよ……」



 呆れてため息が出てしまう俺と。



「……」



 あまりの呆れに、開いた口が文字通り塞がらなくなったちとせの母だった。




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 千春の名を呼ぶところのシリアス感がどうもでない……



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