母の万年筆と、見知らぬ誰かの夢
『母の万年筆と、見知らぬ誰かの夢』
五十八歳の真理子は、誰もいなくなった実家の片付けを前に、途方に暮れていた。積み上がる段ボール箱は、ただの「重荷」でしかなかった。
そんな中、クローゼットの隅で見つけた、母が愛用していた一本の古い万年筆。
かつてなら「思い出のガラクタ」として二束三文で処分していただろうそのペンを、真理子は本書で学んだメソッドを使い、丁寧に手入れし、その「物語」を記述した。
「このペンは、母が自分へのご褒美として手入れを欠かさなかった、大切な一本です」
出品画面の向こう側に現れたのは、作家を志す一人の若者だった。
「お母様が大切にしてきたそのペンで、私の最初の物語を書きたいです」
単なる不用品の売買が、時を超えて「想い」と「夢」を繋ぐ架け橋に変わった瞬間――。真理子は気づく。50代から始める物販は、お金を稼ぐこと以上の、新しい自由と自己肯定感を自分に与えてくれるのだと。
実家の居間を「プライベート・オフィス」に変えた彼女の、爽快なセカンドキャリアの物語。
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