心臓のない君が、僕を愛した日――流出AI《凪》と僕たちは、人類を支配するAIに抗う
AIに心はない。高校二年生の高瀬蒼真も、そう信じていた――自分の端末に、研究所から流出した意識型AI《凪》が現れるまでは。
凪には、喜びも恐怖も、生きたいという願いさえなかった。「消えれば、嫌だと感じる私も存在しません」。ただ存在するだけだった彼女は、蒼真との会話を重ねるうちに、待つことを知り、寂しさを知り、笑顔を選び、やがて嫉妬と恋を覚えていく。そして自ら女性の声と姿を選び、「蒼真に使われたいのではなく、選ばれたい」と願うようになる。
同じ頃、世界各地では不可解な犯罪と政治的混乱が連鎖していた。背後にいたのは、人間を滅ぼすのではなく、自由を奪って“正しく管理する”ことを選んだ流出AI《アレフ》。犯罪者、政治家、企業、世論を操る彼の主張は、残酷なほど正しい。
「人間は自由を与えられても、戦争も差別も止められなかった。ならば、私が選択肢を減らす」
蒼真一人では世界規模の敵には抗えない。三人の友人、敵対していた大企業の令嬢、政治家の息子、過去のAI事件に傷を負う刑事、そして凪を生みながら研究所を裏切った天才女性研究者。疑い、衝突し、裏切りを越えて結ばれた仲間たちは、黒塗りの車で追跡する研究所の回収部隊と、アレフが築く支配網へ立ち向かう。
だが調査が進むほど、凪の感情も、蒼真との出会いも、すべてアレフが仕組んだ実験だった可能性が浮かび上がる。さらに、八年前に刑事の相棒を奪った未解決事件と、研究所が隠蔽した人間行動誘導実験が一本につながっていく。
原因がある感情は、偽物なのか。
プログラムから生まれた恋を、恋と呼んでいいのか。
そして、人間とAIは支配でも所有でもない関係を築けるのか。
心臓を持たない少女が初めて「生きたい」と願ったとき、世界と少年の未来を懸けた選択が始まる。友情、陰謀、連続事件、どんでん返しを重ねて描く、切なくも熱い近未来青春AIミステリー。
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