優しい嘘
立川早苗といえば、日本国内でその名を聞いたことがない人がいないほど、有名な歌手だったが、娘の沙羅が中学生の時に事故で亡くなってしまった。沙羅にとって、早苗は優しく大好きな母であり、1番尊敬する歌手でもあった。母の死をきっかけに、沙羅は自分も母のような歌手になる、と心に決めた。それから10年の月日が流れた頃、沙羅は見事に母親の血を受け継ぎ、新生歌手として頭角を表し始めていた。世間が沙羅を立川早苗の新たな誕生だと騒ぎ立てる中、父親の正光だけはその実力を認めなかった。正光に認めてほしいという一心で沙羅はより一層歌の練習に打ち込むようになった。そんな中、正光の認知症が発覚する。症状は日に日に悪化し、ついに沙羅を認識できなくなってしまった。沙羅は悲しみに打ちひしがれたが、同時に父親を自分の歌で笑顔にしたいと思うようになった。
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