【9月17日完結予定】次期王太子妃は貴方と離れることを所望しております
「もういいわ」
次期王太子妃である私の冷たく吐いた言葉に、周囲の文官たちは言葉を失う。
私の怒りを皆が悟ったのだろう。
なのに言葉をかけた当人––––王太子のキースは気付く素振りもない。
「彼女に会いに行って、いいのか?」
「気にせず行ってください」
告げた言葉に、部屋にいた文官や王城使用人の顔が凍ったのが分かった。
傍に控える騎士も、思わず互いの顔を見合わせている。
皆、分かっている。
怒鳴られる方がマシだ、泣かれる方が救いがある。
『もういい』に込められた意味は、諦めだということに。
「……アイシャ、本当にいいのか?」
キースの足は、もう出口を向いている。
私ではなく、別の女性に会いにいくために……
「えぇ、どうぞ……好きになさってください」
「……すまない。次は埋め合わせをする!」
出て行くキースの背に、そっと告げる。
「もう、次なんてないわよ」
その言葉は、走りゆく王太子に届くことはなかった。
私は覚悟を固める。
半生をかけて支え続けてきた、彼のために尽力してきた。
その努力が軽んじられるのならば。
もう……この座に居る必要はないと。
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