大奥の茜色
江戸時代、将軍家の奥深くに広がる大奥。下働きとして奉公に上がった千早は、厳しい掟と人間関係の中で、御祐筆のお琴に読み書きを学ぶ秘密の稽古を始める。
ある日、将軍の側室・お楽の方の大切な櫛が紛失。千早は庭の萩の陰でそれを発見するが、届け出たことで周囲の妬みと疑いを招く。さらに納戸の文書から、三年前のお楽の方に関する記録が不自然に書き換えられていることに気づく——実はお楽の方が懐妊していた事実が、権力者たちの陰謀で「病」と偽られ、証拠は次々と消されていたのだ。
千早が疑問を抱いたことで、彼女自身も命の危機に直面。そんな時、いつも冷ややかだった同僚のおりんが実はお琴の実の妹で、姉を守るために身を潜めていたことが明らかになる。三人は共に真実を届ける決意を固め、千早は危険を冒して大奥を抜け出し、証拠の写しを持って重臣・酒井忠勝のもとへ向かう。
証拠は将軍・家光の手に渡り、桂昌院やおきたらの陰謀は暴かれる。関係者は処分され、お楽の方は汚名を晴らして戻り、大奥の空気は穏やかに変わっていく。
お琴とおりんは晴れて姉妹となり、千早は学び続けながら、真実を伝える心を胸に新たな道を歩み始める——茜色の空の下、小さな願いが大きな時代を動かした、一人の少女の成長の物語。
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