冷徹弁護士は甘い罠を張る

邉 紗

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告白?どちらかというと自白です

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『さすが、察しがいいな。アメリカだよ。海を渡る前にこちらの取り分が、別会社に捌かれてる』

七生は頭を抱えた。
やっぱり国内じゃない。

これでは一度、アメリカに飛ばなくてはならない。

『旭川にご執心な七生も面白いけどね、そろそろ仕事にも精をだしてもらいたいね。その感じだと、ものに出来たんだろ?』

「駆け引きは繊細なんだ。今、アメリカなんてとんでもない。ふたりの関係に配慮してもらいたいね」

『なにが繊細だ。彼女を適当な嘘で丸め込んでいるくせに。宝城がまだ計画進行中なのかって呆れていたぞ』

実は七生も、これほど上手く行くと思ってなかった節もある。
文は素直で従順だった。
なんでも一生懸命で愛らしくて、ますます好きになった。

「虚偽でも妄想でもなく、秘めたる想いに気付かせようとしているだけだよ」

『よく言うよ。ともかく、アメリカ行きは明日の朝だ。チケットとってあるから追いかけてきてくれ。俺は先に行ってる』

「おいふざけるな。俺は今、文と大事な時でーー……」

「……七生さん……?」

上掛けを巻き付けた文が、リビングのドアから顔を出した。まだ目が開いていないようで擦っている。


「ーー文」

話に熱中して、声が大きくなっていたかもしれない。

「どうした? まだ寝てていいぞ」

慌てて駆けよる。

「でも、七生さん起きてるのに……」

「そんなのいい。体辛いだろ」

七生がベッドに戻るように背中を押すと、文はよろけた。

「あっ」

腕を出して支える。

「大丈夫?」

「なんか、足が笑っちゃって……」

文は顔を真っ赤にして七生にしがみついた。
原因がすぐにわかり、七生は破顔する。

「マッサージしてあげるよ」

あまりの愛おしさに抱き寄せたところで、手に持ったままだったスマートフォンから音割れした声が響いた。

『七生、早朝のフライトだ! 寝坊するなよ!』

吾妻の存在などすっかり忘れていて、舌打ちをする。

「行かないとは言わないから、月曜にしてくれ」

『今夜と言わないだけ、優しいと思って欲しいね!』

吾妻は返事を聞かずに、憤慨しながら通話を一方的に終わらせた。

「ごめんなさい、副社長から電話だったんですね……邪魔をしてしまって」

「いや、気にしないで。休日に仕事の話で邪魔をしてきたのは至の方だから」

七生は額に軽くキスを落とすと、文を横向きに抱き上げる。
文は素直に腕を回した。

「ベッドにする? ソファにする?」

どちらにしろ一緒に過ごすつもりだ。
食事は昼に食べれば良いだろう。
それにしても、賢はよくもやってくれた。
やはり温情などかけずにすぐに処罰するべきだった。

文に手を出し、貿易を混乱させ、ふたりの時間を邪魔した罪は重い。

ベッドを選んだ文を移動させながら、七生は震えるような怒りをひた隠しにしていた。

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