騎士と宵闇の雪

「ん〜あぁおはよう、ロベ」
そう言って長いサラサラの黒髪を肩に下ろし、細くて、長い脚を、僕のお姉ちゃんはベッドからフローリングに降ろした。

ドレッサーに向かい、髪をとかしている。
僕は、そんな黒髪ロングヘアーの似合う細身のお姉ちゃんが、窓を開けて網戸にした瞬間、覗き魔に見られる姿が、なんとも…嬉しい、いや、羞恥のような、いやらしい気分になる。

キャットタワーからその姿を見るのは、まるで俺の女感。

今日はお昼に、お姉ちゃんは美容院にトリートメントしに行くらしい、ワクワクしているのが、猫の僕にも分かる。

僕も行きたい。

でも僕は猫のロベルト!

「ロベ、ご飯、食べに行こう?」

はい!朝ご飯食べます!

「ふふふ、可愛いね?おいで、下で皆で食べよう?せっちゃんもいるよ」



いいいややややだあああ!

"せっちゃん"とか言う、新入り猫が
僕は5匹の我が家の猫の中で、1番大っきら…ぃ…グスンッ

「クスッ気まずいか、おいで、ロベ」

お姉ちゃんは、そう言って自室の扉を開けて、僕と横に並んで階段を降りて、一階へ向かった。

昔は仲良しだった。
1番可愛い弟だった。

そして僕は、その弟が僕に持つ尊敬と敬愛と敬意が、単純に甘えん坊さんなのか、いつも心配で、ゲージの中でせっちゃんを初めて見た時は、最初は最悪だった…けど、

いつまでこんな檻に入れられるんだ? 

トイレと隣り合わせじゃないか!

トイレとご飯食べているぞ?

ベッドはヒーター機能は?

心配で、たまらなかった。
お披露目会の時は、体を重ねれば重ねる程、幸せだった。
寝る時はいつも一緒…。
喧嘩などは、した事は一切無かった。

さぁ、
朝ご飯だ!僕はカリカリ派。
お姉ちゃんはいつも拘りのご飯を、洗ったばかりのガーゼで拭いた綺麗なウェッジウッドの皿でご飯をくれる。


そして、
せっちゃんの十八番が始まった。


「せっちゃん!ダメだよ!やめて!」
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