妊婦を助けて足を折られた俺。やり直した人生では、もう助けない
前の人生で、俺は男たちに襲われていた妊婦を助けようとして、片脚を折られた。
ところが翌朝、病院で目を覚ますと、SNSは俺への非難であふれていた。助けたはずの妊婦が、俺に抱えられて救急車を待つ写真を投稿し、介抱されている最中に体を触られたと訴えたのだ。
会社を解雇され、自宅の住所までネットにさらされた。両親は執拗な嫌がらせを受け、身に覚えのない賠償金まで支払わされた。
父は自ら命を絶ち、母は心を病んだ。
俺も最後には、あの女が雇った男たちに殺された。
殴られて意識が薄れていくなか、男たちが朔原市の南にある廃れたレンガ工場について話していたことを覚えている。その場所に何があるのか、確かめることはできなかった。
次に目を開けたとき、俺はあの日の路地の前に立っていた。
奥から、聞き覚えのある女の声がする。
「宮坂修也が来たら始めるのよ。あんたたちは私を襲うふりをすればいいんだから」
慌ててスマホを取り出し、録音を始めた。
「いい? 修也が割って入ったら、まず男のほうを殴って。あとは私が何とかする。金が入ったら、約束どおりに分けるから」
息を殺して、画面に表示された録音時間を確かめた。
話しているのは篠原美咲。俺の彼女の親友だ。
前の人生で、俺の家族を破滅させた女だった。
路地の奥では、美咲が髪を乱し、腹を抱える姿勢を取っている。男たちも、それぞれの位置についた。
あとは俺が駆けつけるのを待つだけだった。
ところが翌朝、病院で目を覚ますと、SNSは俺への非難であふれていた。助けたはずの妊婦が、俺に抱えられて救急車を待つ写真を投稿し、介抱されている最中に体を触られたと訴えたのだ。
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