28 / 29
第二章 赤い月と少年の秘密
28 ルイスの異変 1
しおりを挟む
蒼風の刃たちがウルフの退治を終えて、ルイスの元へと戻ってくる。
「おい。ちょっとは参考になったか?」
「違いがよくわからなかったです……」
「そうか……」
ルイスは、四人の動きをまんべんなく見ていた。見落としていた部分がないとは言わないが、視野を広く持ち、ダンカが剣を握るときの指の動きや、踏み込むタイミングなど、一つ一つの細かな動きにまで注目していた。
それを、いつもの自分の動きと比べてみたのだが、違いはあまりないように感じた。
それは、当然のことだ。ルイスは、力の加減ができないだけであって、魔物を倒すときの立ち回りなどには、特に無駄があるわけではない。さらに効率化することはできるだろうが、今のままでも問題があるわけではなかった。
ルイスもダンカも、それに気づくことはなく、何が問題なのか、しばらく頭を悩ませることとなった。
◇◇◇
依頼を終えて、ルイスと蒼風の刃たちは、街に戻ろうと準備を始める。
「ルイスくん。街に戻る前に報酬の配分を決めておきたいんだけど」
「全部皆さんのほうでいいですよ。僕はあまり役に立ってませんし」
ルイスがやったことといえば、ウルフの体を粉々にしたくらいだ。
そのウルフは、討伐証明にならないので、本来、貰えたはずの報酬が貰えなくなっている。ルイスは役に立つどころか、足を引っ張りまくっていた。
そんな自分が、金を寄越せなんて図々しい真似はできない。
「それは私たちが困るのよ。合同依頼という形だから、報酬を分けておかないと、私たちがいろいろ言われてしまうわ」
「お前がいらないと言ったんだとしても、周りからすれば、俺たちが報酬を独占したようにしか見えないからな」
リリカたちからすれば、ルイスは充分といえるほど役に立っている。
確かに、ウルフの素材を台無しにはされたが、そもそもリリカたちがルイスを連れてきたのは、護衛代わりとしてだ。
依頼を受けなければ暮らしていけないが、最近は魔物の活動が活発になってきており、いつも以上に街の外は危険だった。
そんな状況でも、ルイスがそれなりの強さを持っていたからこそ、襲撃などを警戒することもなく、ウルフの退治に集中することができた。
だが、リリカたちがこう思っていて、説明したとしても、実際に襲撃などはなかったわけなので、ルイスが納得してくれるとは思えない。だからこそ、受け取ってくれないと自分たちが困るという体で受け取らせることにした。
ルイスは、子どもにしては大人びており、かなりのお人好しだ。ルイスの活躍を説明するよりも、自分たちが困るといったほうが、受け取ってくれる可能性は高かった。
「わ、わかりました……。そういうことなら、少しだけ貰っておきます」
リリカたちの予想通り、ルイスは渋々ではあったようだが、受け取ることを納得してくれた。
「それじゃあ、ギルドに戻りましょうか」
「はい」
ルイスはこくりと頷いて、リリカたちの後をついていこうとしたところで、あるものが視界に入る。
それは、馬車だった。
馬車が走っていることは、そこまで珍しいことではない。商人が街を出入りするのは、ルイスもよく見ていた光景だ。
だが、その馬車が通っている時間と場所には違和感を覚えた。
(なんでこんな時間にこんなところを……?)
ここは、整備された場所からは大きく外れており、時間は夕暮れに差し掛かろうとしているころだ。
街に帰るために馬車を走らせているのなら、まだわかるが、馬車の向きからして、どう見ても街から出てきた馬車だろう。
そして、大きさは大きいほうだというのに、護衛の一人も見当たらない。あんな状態で馬車を走らせるなど、無謀以外の何者でもないだろう。
「ルイスくん?どうしたの?」
急に歩みを止めたルイスを不審に思い、リリカが聞いてくる。
ルイスは、馬車のほうを指差した。
「リリカさん、あの馬車ーー」
ルイスがそう言うと、リリカも馬車のほうを見る。
「ああ、確かにこの辺りを通るのは珍しいけど……それがどうかしたの?」
「護衛もなしにこの時間帯に通ってるんですよ?おかしくないですか?」
「まぁ、そうかもしれないけど、護衛を雇えるのはお金持ちだけだし、ここを通ると判断したのはあの人たちでしょう?私たちが首を突っ込むことではないわよ」
「そうですけど……」
この時間帯に街を出ると決めたのも、護衛を雇わないことにしたのも、ここを通るのも、すべてはあの馬車の持ち主の判断だ。
それで何か危険な目にあったとしても、すべては自己責任。
この時間帯にしたのが悪い、護衛を雇わなかったのが悪い、この道を通ったのが悪いとされるだけだ。
それは、ルイスもわかっているのだが……どうにも、引っかかる。
馬車に意識を集中していたからだろう。その時、ルイスの嗅覚がある匂いを感じとる。それはーー血の匂い。
リリカたちは違う。そもそも怪我をしていないように見えるし、していたとしても側にいるのだから、すぐに気づく。ルイスも怪我をしていないので違うだろう。
それならば、残るは一つしかない。
「リリカさん。僕、ちょっとあの馬車を見てきます」
「だからねーー」
リリカは、先ほどと同じようにルイスを説得しようとしたところで気がついた。
ルイスの様子が、先ほどまでとは、まるで別人のようだったことに。
駆け出しとはいえ、冒険者として、いろいろな魔物を討伐してきたリリカは、その変化に気づいた。
先ほどまでは、あの馬車のことを心配しているような様子だったが、今は、何か獲物でも見つけたかのような、捕食者のような笑みを浮かべている。
ルイスの笑みが、無力な人間を見つけたときの魔物の様子に重なって見えたのだ。
「ル、ルイスくん……?」
「リリカさんたちは先に戻っていていいですよ。僕も、ちょっと見てすぐに戻りますから」
ルイスは、すぐに目を閉じた笑みを向けたが、こちらに顔を向けたその一瞬、リリカの目にはあるものが映った。
陽光に照らされ、キラリと光った、ルイスの赤い瞳を。
どんな光の当たり方でも、黒い瞳が赤く輝いて見えたりはしないだろう。ということは、ルイスの瞳は、本当に赤くなっているのだ。
ルイスのその異様な様子には、リリカだけでなく、クロードやアズサ、ダンカも気づいていた。
「そんなに言うなら私たちも残るわよ。あなたはまだ子どもだし、置いて帰るわけには行かないわ」
「そうだ。お前を置いて帰ったら、ギルマスになんて言われるかわからん」
「合同依頼を受けている以上、ルイスくんも仲間ですしね」
「俺も同意見だ」
こんな状態のルイスを置いて帰るわけにもいかないと、リリカだけでなく、蒼風の刃全員が残る意志を示す。
ルイスは、それに反抗するかのように、リリカたちをじっと睨むように見る。
その時に、再びその赤い瞳が見え、先ほどのは勘違いでないことを、再認識させられた。
「じゃあ、何があっても怒らないでくださいよ?」
ニヤリとしながらそう言ったルイスは、馬車のほうに歩みを進めた。
「おい。ちょっとは参考になったか?」
「違いがよくわからなかったです……」
「そうか……」
ルイスは、四人の動きをまんべんなく見ていた。見落としていた部分がないとは言わないが、視野を広く持ち、ダンカが剣を握るときの指の動きや、踏み込むタイミングなど、一つ一つの細かな動きにまで注目していた。
それを、いつもの自分の動きと比べてみたのだが、違いはあまりないように感じた。
それは、当然のことだ。ルイスは、力の加減ができないだけであって、魔物を倒すときの立ち回りなどには、特に無駄があるわけではない。さらに効率化することはできるだろうが、今のままでも問題があるわけではなかった。
ルイスもダンカも、それに気づくことはなく、何が問題なのか、しばらく頭を悩ませることとなった。
◇◇◇
依頼を終えて、ルイスと蒼風の刃たちは、街に戻ろうと準備を始める。
「ルイスくん。街に戻る前に報酬の配分を決めておきたいんだけど」
「全部皆さんのほうでいいですよ。僕はあまり役に立ってませんし」
ルイスがやったことといえば、ウルフの体を粉々にしたくらいだ。
そのウルフは、討伐証明にならないので、本来、貰えたはずの報酬が貰えなくなっている。ルイスは役に立つどころか、足を引っ張りまくっていた。
そんな自分が、金を寄越せなんて図々しい真似はできない。
「それは私たちが困るのよ。合同依頼という形だから、報酬を分けておかないと、私たちがいろいろ言われてしまうわ」
「お前がいらないと言ったんだとしても、周りからすれば、俺たちが報酬を独占したようにしか見えないからな」
リリカたちからすれば、ルイスは充分といえるほど役に立っている。
確かに、ウルフの素材を台無しにはされたが、そもそもリリカたちがルイスを連れてきたのは、護衛代わりとしてだ。
依頼を受けなければ暮らしていけないが、最近は魔物の活動が活発になってきており、いつも以上に街の外は危険だった。
そんな状況でも、ルイスがそれなりの強さを持っていたからこそ、襲撃などを警戒することもなく、ウルフの退治に集中することができた。
だが、リリカたちがこう思っていて、説明したとしても、実際に襲撃などはなかったわけなので、ルイスが納得してくれるとは思えない。だからこそ、受け取ってくれないと自分たちが困るという体で受け取らせることにした。
ルイスは、子どもにしては大人びており、かなりのお人好しだ。ルイスの活躍を説明するよりも、自分たちが困るといったほうが、受け取ってくれる可能性は高かった。
「わ、わかりました……。そういうことなら、少しだけ貰っておきます」
リリカたちの予想通り、ルイスは渋々ではあったようだが、受け取ることを納得してくれた。
「それじゃあ、ギルドに戻りましょうか」
「はい」
ルイスはこくりと頷いて、リリカたちの後をついていこうとしたところで、あるものが視界に入る。
それは、馬車だった。
馬車が走っていることは、そこまで珍しいことではない。商人が街を出入りするのは、ルイスもよく見ていた光景だ。
だが、その馬車が通っている時間と場所には違和感を覚えた。
(なんでこんな時間にこんなところを……?)
ここは、整備された場所からは大きく外れており、時間は夕暮れに差し掛かろうとしているころだ。
街に帰るために馬車を走らせているのなら、まだわかるが、馬車の向きからして、どう見ても街から出てきた馬車だろう。
そして、大きさは大きいほうだというのに、護衛の一人も見当たらない。あんな状態で馬車を走らせるなど、無謀以外の何者でもないだろう。
「ルイスくん?どうしたの?」
急に歩みを止めたルイスを不審に思い、リリカが聞いてくる。
ルイスは、馬車のほうを指差した。
「リリカさん、あの馬車ーー」
ルイスがそう言うと、リリカも馬車のほうを見る。
「ああ、確かにこの辺りを通るのは珍しいけど……それがどうかしたの?」
「護衛もなしにこの時間帯に通ってるんですよ?おかしくないですか?」
「まぁ、そうかもしれないけど、護衛を雇えるのはお金持ちだけだし、ここを通ると判断したのはあの人たちでしょう?私たちが首を突っ込むことではないわよ」
「そうですけど……」
この時間帯に街を出ると決めたのも、護衛を雇わないことにしたのも、ここを通るのも、すべてはあの馬車の持ち主の判断だ。
それで何か危険な目にあったとしても、すべては自己責任。
この時間帯にしたのが悪い、護衛を雇わなかったのが悪い、この道を通ったのが悪いとされるだけだ。
それは、ルイスもわかっているのだが……どうにも、引っかかる。
馬車に意識を集中していたからだろう。その時、ルイスの嗅覚がある匂いを感じとる。それはーー血の匂い。
リリカたちは違う。そもそも怪我をしていないように見えるし、していたとしても側にいるのだから、すぐに気づく。ルイスも怪我をしていないので違うだろう。
それならば、残るは一つしかない。
「リリカさん。僕、ちょっとあの馬車を見てきます」
「だからねーー」
リリカは、先ほどと同じようにルイスを説得しようとしたところで気がついた。
ルイスの様子が、先ほどまでとは、まるで別人のようだったことに。
駆け出しとはいえ、冒険者として、いろいろな魔物を討伐してきたリリカは、その変化に気づいた。
先ほどまでは、あの馬車のことを心配しているような様子だったが、今は、何か獲物でも見つけたかのような、捕食者のような笑みを浮かべている。
ルイスの笑みが、無力な人間を見つけたときの魔物の様子に重なって見えたのだ。
「ル、ルイスくん……?」
「リリカさんたちは先に戻っていていいですよ。僕も、ちょっと見てすぐに戻りますから」
ルイスは、すぐに目を閉じた笑みを向けたが、こちらに顔を向けたその一瞬、リリカの目にはあるものが映った。
陽光に照らされ、キラリと光った、ルイスの赤い瞳を。
どんな光の当たり方でも、黒い瞳が赤く輝いて見えたりはしないだろう。ということは、ルイスの瞳は、本当に赤くなっているのだ。
ルイスのその異様な様子には、リリカだけでなく、クロードやアズサ、ダンカも気づいていた。
「そんなに言うなら私たちも残るわよ。あなたはまだ子どもだし、置いて帰るわけには行かないわ」
「そうだ。お前を置いて帰ったら、ギルマスになんて言われるかわからん」
「合同依頼を受けている以上、ルイスくんも仲間ですしね」
「俺も同意見だ」
こんな状態のルイスを置いて帰るわけにもいかないと、リリカだけでなく、蒼風の刃全員が残る意志を示す。
ルイスは、それに反抗するかのように、リリカたちをじっと睨むように見る。
その時に、再びその赤い瞳が見え、先ほどのは勘違いでないことを、再認識させられた。
「じゃあ、何があっても怒らないでくださいよ?」
ニヤリとしながらそう言ったルイスは、馬車のほうに歩みを進めた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
『25歳独身、マイホームのクローゼットが異世界に繋がってた件』 ──†黒翼の夜叉†、異世界で伝説(レジェンド)になる!
風来坊
ファンタジー
25歳で夢のマイホームを手に入れた男・九条カケル。
185cmのモデル体型に彫刻のような顔立ち。街で振り返られるほどの美貌の持ち主――だがその正体は、重度のゲーム&コスプレオタク!
ある日、自宅のクローゼットを開けた瞬間、突如現れた異世界へのゲートに吸い込まれてしまう。
そこで彼は、伝説の職業《深淵の支配者(アビスロード)》として召喚され、
チートスキル「†黒翼召喚†」や「アビスコード」、
さらにはなぜか「女子からの好感度+999」まで付与されて――
「厨二病、発症したまま異世界転生とかマジで罰ゲームかよ!!」
オタク知識と美貌を武器に、異世界と現代を股にかけ、ハーレムと戦乱に巻き込まれながら、
†黒翼の夜叉†は“本物の伝説”になっていく!
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる