巫女ですが迷信と笑われたので、山の主はもう起こしません
わたくしはブリギッテ。春ごとに山へ登り、守り神の大熊「ぬしさま」をお起こしする巫女ですわ。ぬしさまが春に目覚めませんと、雪解け水が暴れて川が氾濫いたしますの。――ですのに、都から来た代官クレメンス様は「そんな迷信に予算は出せない。金はすべて新しい堤防へ」と、千年続いた祭祀を廃止なさいましたのよ。
「迷信ですって? ……ええ、そうかもしれませんわね。では今年の春、お手並み拝見ですわ」
これは呪いでも脅しでもなく、ただの天気予報ですの。誰にも起こされなかったぬしさまは眠ったまま。記録的な大雪の春、氷の堰は切れ、自慢の堤防は――ぬしさまの寝返りひとつで、あっけなく崩れましたわ。
それでも、わたくしは町の皆さまを見捨てませんの。誰よりも先に避難を触れて回りますわ。だって巫女ですもの。そして水に洗われた町へ、のそのそと山を下りてきた寝坊助の守り神が、千年前の「祭りの意味」を前足ひとつで答え合わせして――?
祭りの意味を最初から侮らなかった石橋職人ヨナタン様と、白状して生まれ変わる代官様と、縁側で昼寝する巨大もふもふ。祈りと石積み、「両方やる」町の再出発と、遅すぎた春の物語ですわ。
「迷信ですって? ……ええ、そうかもしれませんわね。では今年の春、お手並み拝見ですわ」
これは呪いでも脅しでもなく、ただの天気予報ですの。誰にも起こされなかったぬしさまは眠ったまま。記録的な大雪の春、氷の堰は切れ、自慢の堤防は――ぬしさまの寝返りひとつで、あっけなく崩れましたわ。
それでも、わたくしは町の皆さまを見捨てませんの。誰よりも先に避難を触れて回りますわ。だって巫女ですもの。そして水に洗われた町へ、のそのそと山を下りてきた寝坊助の守り神が、千年前の「祭りの意味」を前足ひとつで答え合わせして――?
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