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41話
彼女の紅い瞳から目が話せない。次第に食い入るように見つめれば、クラクラして……ふわふわするような酩酊感を感じて心地よくなる。膝の力が抜けてその場に頽れた。
「大丈夫かい?」
華奢な彼女は私を軽々と横抱きにして、暗がりにあるベンチに座らせた。抱っこされている間とても気持ち良かった。脱力し彼女に寄りかかる。金木犀を砂糖で煮詰めたような甘いとても甘い香りがした。
「美味しいそうだね。大丈夫、僕上手だからすぐ終わるから……」
彼女がクスリと笑う声が耳に木霊する。そして彼女が首筋を舐めり、齧った。
「あぁっ…………」
指先が痺れるような快感が齧られた首筋から広がる。彼女の瞳を見ながらいつまでもこのままこうしていたいとすら思えた。
「殺してやる」
彼女の美しい首に手が掛けられた。指が食い込み首を締められているのがわかるが、陶酔した脳でうっとりと見てるだけだ。苦しそうに王女は呻いて、脱力して死体となったのだろうか?王女を肉塊にした犯人を見れば、アリスだった。胸の内から切なさがこみ上げる。恋しい名前を呼んだ。
「アリス……」
「触るな!!」
抱きつこうとした瞬間、剣柄で押されその場に座り込んだ。アリスが噛まれた首筋に回復魔法を掛け傷は跡形もなく無くなった。
「ごめんなさい。アリスのことが好きなの……ずっと一緒にいたいの……」
くしゃりと歪んだ顔に涙が滲む。
「僕も……僕も好きだよ。愛してる。でも、好きな分だけ酷いことをしたくなるんだ。ぐちゃぐちゃに犯して犯し尽くして……殺して永遠に僕のものにしたいって。それなのにアルちゃんが居なくなった世界に意味はなくて、きっと世界を破壊してしまう。ずっと誰よりもアルちゃんの幸せを願ってた。アルちゃんが幸せで笑っていればそれで良かったのに……だからもう一緒にいられない」
アリスは泣いていた。初めての泣いてる所を見た。アリスの体が朧気に歪んで、反魔力である黒い魔力立ち昇る指先はもうそれに溶けている。
「ねぇ、ちょっと……僕、一回死んじゃったじゃん!」
振り向くと倒れていた。ライリー王女様が首を鳴らしながら立っていた。
「生きてたか……もう一回死んどけば?」
「いや、ヴァンパイアでも死んだら痛いから」
「アルちゃん近づく男なんて死ねばいいのに……」
「えっ? 男?」
私が驚いている間に、アリスは抜刀し、ライリー様に横薙ぎに剣を振るった。内蔵まで到達し倒れるが血肉が見えていた傷は血に濡れているが、すぐに元の白く美しい皮膚になった。
「あぁぁぁぁぁっ! お気に入りのドレスが!」
「うるさい」
アリスは舌打ちをして、ドスっと腹に一発正拳付きを入れた。ライリー様は気を失って倒れたが、それを受け止めて、アリスは肩に担いでものすごい速さで去っていった。私はその場に座り込んだまま、アリスが去っていった方向をずっと見ていた。
大広間に戻る気が起きなくて、ボケっと月をたた眺めていた。喪失感と後悔が交互に押し寄せる。
「ここにいたんですか?」
汗をかいて息を切らし、エバンが近づいてきた。
「ああ、ごめんなさい」
“ごめんなさい”という言葉が自分の胸に刺さる。それはエバンに対してじゃない。嗚咽を漏らして泣いた。エバンがそっと抱きしめてくれた。
――アリス……胸が痛いよ。
もう一人で立っていられない。このまま温かい彼の胸に寄りかかってしまいたくなった。
「ひどい顔……」
朝、鏡に映る自分に言った。顔は浮腫んで、目は腫れている。冷たい水で顔を洗い、瞼を氷嚢で冷やせば、少しはマシな顔になった。マケールはベットの上でとっても可愛い尻尾を丸めて、まだすやすやと寝息を立てて寝ている。
学園の制服に身を包み学園に向かった。
馬車の向かいにエバンが座っている。昨日あんなに泣いたから、気まずい。
「大丈夫ですか?」
エバン大きくて温かい手が私の手に重なる。それだけでホッとして目頭が熱くなる。
「大丈夫……じゃないわ。どうしていいかわからないもの」
「何があっても姫のことは、この身に代えても俺が護ります」
エバンが泣きそうな私を包んだ。
教室に入れば、アリス今日も居ない。休みだろうか。会って助けなきゃと思うけど、何ができるか思い浮かばない。愛してるって言ってくれた。私もアリスを好きなのに一緒に居られないって悲しすぎる。アリスはきっと私を殺せば、世界を滅ぼすだろう。ゲームのバットエンドでもそうだったから。授業が右から左に過ぎて、頭に入らない。気づけばお昼休みだった。
「お姉ちゃん、ご飯食べに行こう」
アンネいつもの人好きする笑顔で話しかけてきた。今日はサロンを予約していないから、食堂でご飯を食べた。
「お姉ちゃん、それ食べないの?」
殆ど口を付けてない定食を見てアンネが言った。
「ええ。よければどうぞ……」
アンネに差し出した食膳を美味しいそうに食べた。彼女のノー天気さが羨ましい。本当に強い人はこういう人かもしれないと思った。
長く感じた一日が終わった。家路に着いて就寝した筈だった。
目が覚めると縛られて半地下の部屋に転がされていた。
「大丈夫かい?」
華奢な彼女は私を軽々と横抱きにして、暗がりにあるベンチに座らせた。抱っこされている間とても気持ち良かった。脱力し彼女に寄りかかる。金木犀を砂糖で煮詰めたような甘いとても甘い香りがした。
「美味しいそうだね。大丈夫、僕上手だからすぐ終わるから……」
彼女がクスリと笑う声が耳に木霊する。そして彼女が首筋を舐めり、齧った。
「あぁっ…………」
指先が痺れるような快感が齧られた首筋から広がる。彼女の瞳を見ながらいつまでもこのままこうしていたいとすら思えた。
「殺してやる」
彼女の美しい首に手が掛けられた。指が食い込み首を締められているのがわかるが、陶酔した脳でうっとりと見てるだけだ。苦しそうに王女は呻いて、脱力して死体となったのだろうか?王女を肉塊にした犯人を見れば、アリスだった。胸の内から切なさがこみ上げる。恋しい名前を呼んだ。
「アリス……」
「触るな!!」
抱きつこうとした瞬間、剣柄で押されその場に座り込んだ。アリスが噛まれた首筋に回復魔法を掛け傷は跡形もなく無くなった。
「ごめんなさい。アリスのことが好きなの……ずっと一緒にいたいの……」
くしゃりと歪んだ顔に涙が滲む。
「僕も……僕も好きだよ。愛してる。でも、好きな分だけ酷いことをしたくなるんだ。ぐちゃぐちゃに犯して犯し尽くして……殺して永遠に僕のものにしたいって。それなのにアルちゃんが居なくなった世界に意味はなくて、きっと世界を破壊してしまう。ずっと誰よりもアルちゃんの幸せを願ってた。アルちゃんが幸せで笑っていればそれで良かったのに……だからもう一緒にいられない」
アリスは泣いていた。初めての泣いてる所を見た。アリスの体が朧気に歪んで、反魔力である黒い魔力立ち昇る指先はもうそれに溶けている。
「ねぇ、ちょっと……僕、一回死んじゃったじゃん!」
振り向くと倒れていた。ライリー王女様が首を鳴らしながら立っていた。
「生きてたか……もう一回死んどけば?」
「いや、ヴァンパイアでも死んだら痛いから」
「アルちゃん近づく男なんて死ねばいいのに……」
「えっ? 男?」
私が驚いている間に、アリスは抜刀し、ライリー様に横薙ぎに剣を振るった。内蔵まで到達し倒れるが血肉が見えていた傷は血に濡れているが、すぐに元の白く美しい皮膚になった。
「あぁぁぁぁぁっ! お気に入りのドレスが!」
「うるさい」
アリスは舌打ちをして、ドスっと腹に一発正拳付きを入れた。ライリー様は気を失って倒れたが、それを受け止めて、アリスは肩に担いでものすごい速さで去っていった。私はその場に座り込んだまま、アリスが去っていった方向をずっと見ていた。
大広間に戻る気が起きなくて、ボケっと月をたた眺めていた。喪失感と後悔が交互に押し寄せる。
「ここにいたんですか?」
汗をかいて息を切らし、エバンが近づいてきた。
「ああ、ごめんなさい」
“ごめんなさい”という言葉が自分の胸に刺さる。それはエバンに対してじゃない。嗚咽を漏らして泣いた。エバンがそっと抱きしめてくれた。
――アリス……胸が痛いよ。
もう一人で立っていられない。このまま温かい彼の胸に寄りかかってしまいたくなった。
「ひどい顔……」
朝、鏡に映る自分に言った。顔は浮腫んで、目は腫れている。冷たい水で顔を洗い、瞼を氷嚢で冷やせば、少しはマシな顔になった。マケールはベットの上でとっても可愛い尻尾を丸めて、まだすやすやと寝息を立てて寝ている。
学園の制服に身を包み学園に向かった。
馬車の向かいにエバンが座っている。昨日あんなに泣いたから、気まずい。
「大丈夫ですか?」
エバン大きくて温かい手が私の手に重なる。それだけでホッとして目頭が熱くなる。
「大丈夫……じゃないわ。どうしていいかわからないもの」
「何があっても姫のことは、この身に代えても俺が護ります」
エバンが泣きそうな私を包んだ。
教室に入れば、アリス今日も居ない。休みだろうか。会って助けなきゃと思うけど、何ができるか思い浮かばない。愛してるって言ってくれた。私もアリスを好きなのに一緒に居られないって悲しすぎる。アリスはきっと私を殺せば、世界を滅ぼすだろう。ゲームのバットエンドでもそうだったから。授業が右から左に過ぎて、頭に入らない。気づけばお昼休みだった。
「お姉ちゃん、ご飯食べに行こう」
アンネいつもの人好きする笑顔で話しかけてきた。今日はサロンを予約していないから、食堂でご飯を食べた。
「お姉ちゃん、それ食べないの?」
殆ど口を付けてない定食を見てアンネが言った。
「ええ。よければどうぞ……」
アンネに差し出した食膳を美味しいそうに食べた。彼女のノー天気さが羨ましい。本当に強い人はこういう人かもしれないと思った。
長く感じた一日が終わった。家路に着いて就寝した筈だった。
目が覚めると縛られて半地下の部屋に転がされていた。
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