鼓動に乗って
俺は夢を見ていた。
俺は、小学校を卒業するまで、実家のある佐渡が島に住んでいた。近所に住む陽子ちゃんとは、同い年の幼 馴染で、あまり子どもの多い集落でなかった事もあり、彼女とはいつも一緒に遊んでいた。
ある日、近所の公園で、ブランコに乗って遊んでいる時、立ち漕ぎしながら俺が、陽子ちゃんに話しかけ、彼女が俺の方を向いた瞬間、陽子ちゃんがブランコから落ちて、怪我をした。幸いな事に大事には至らなかったが、背中の肩甲骨下に、大きな目立つ痣が出来てしまった。
俺は、この傷を作らせてしまったのは、自分のせいだと思い、何度も何度も陽子ちゃんに泣きながら謝った。でも彼女は、
「私の不注意だから、譲ちゃんのせいじゃないよ」と言って、俺を抱き締め慰めてくれた。これではどっちが怪我をしたのか分からない。そんな優しくて可愛い陽子ちゃんが、幼い頃から大好きだった。
その後、小学校に入学しても、彼女とは変わらずに仲良く接していたが、小学校四年の秋、ある日突然、陽子ちゃんは東京に引っ越す事になった。引っ越す理由を、彼女に聞いても俺の母親に聞いても、教えくれなかった。
引っ越し当日、俺は陽子ちゃんの家の前に行き、彼女を見送る事にした。次々と家具が運び出され、大きなトラックに積まれて行くのを見ていると、寂しく泣き出しそうになった。お母さんと二人で外に出てきた陽子ちゃんは、
「これから船に乗って、東京に行くの」と寂しそうな顔をして言った。俺が、
「俺は、絶対に陽子ちゃんを見つけ出すから」と声を絞り出して言うと、彼女は俺にキスをして、
「譲くん大好きだよ。バイバイ」と言って、車に乗って走り去る。俺も陽子ちゃんも、お互いが見えなくなるまで、手を振り続けた。
過去の記憶そのままに、脚色すらない夢を見た。俺は、陽子ちゃんを見つけ出すって言ったのに、今では、バイクに乗って、各地を旅することに夢中になっている。
俺はヤマハのSR400と言う、一九七八年に発売されロングセラーとなっている、レトロなバイクに乗っている。俺は、何十年もバイクに乗っているベテランではなく、七、八年前に二十代半ばにして、テレビ番組の、しかも甘トークと言う、バラエティー番組に触発され、バイクに乗ろうと決めた、バイク乗りの中での変わり種だ。
バイクと言う鉄のおもちゃを手に入れ、公道を自由に乗りこなすことが出来るようになった俺は、手軽に行ける風光明媚なコースを設定し、週末になると走っていたが、そのうち、そのコースだけでは満足しなくなり、県外にも足を延ばしたくなってきた。それからは、マップとにらめっこし、山形県と福島県にバイクで旅をすることに決めた。
俺は、旅を通じて、様々な景色、食、そして人との出逢いを重ね、運命の糸に導かれるかのように、陽子ちゃんと遂に再会する。
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俺は、この傷を作らせてしまったのは、自分のせいだと思い、何度も何度も陽子ちゃんに泣きながら謝った。でも彼女は、
「私の不注意だから、譲ちゃんのせいじゃないよ」と言って、俺を抱き締め慰めてくれた。これではどっちが怪我をしたのか分からない。そんな優しくて可愛い陽子ちゃんが、幼い頃から大好きだった。
その後、小学校に入学しても、彼女とは変わらずに仲良く接していたが、小学校四年の秋、ある日突然、陽子ちゃんは東京に引っ越す事になった。引っ越す理由を、彼女に聞いても俺の母親に聞いても、教えくれなかった。
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「俺は、絶対に陽子ちゃんを見つけ出すから」と声を絞り出して言うと、彼女は俺にキスをして、
「譲くん大好きだよ。バイバイ」と言って、車に乗って走り去る。俺も陽子ちゃんも、お互いが見えなくなるまで、手を振り続けた。
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俺はヤマハのSR400と言う、一九七八年に発売されロングセラーとなっている、レトロなバイクに乗っている。俺は、何十年もバイクに乗っているベテランではなく、七、八年前に二十代半ばにして、テレビ番組の、しかも甘トークと言う、バラエティー番組に触発され、バイクに乗ろうと決めた、バイク乗りの中での変わり種だ。
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