それは島の秘密
別個の人である限り抱えている秘密は見抜けない。それぞれがそれなりの理由による秘密を抱え、島の秘密・十二神将に立ち向かう。
遥か昔、天の使役神(しえきしん)である十二神将(じゅうにしんしょう)は、万物を創生するという豊饒石(ほうじょうせき)の所有権を巡って争った。この争いを見かねた仙人・泰(たい)元璋(げんしょう)は、十二神将と豊饒石を封じ込める。この封神(ほうしん)により六十年に一度目覚める一神将と鼎国(ていこく)の王は、豊饒石の所有権を争わねばならない。
六十年目の王となった緋逸(ひいつ)は、他に公子がいなかったというだけで王位を与えられたことに悩んでいた。王族と有力貴族の勢力を抑えるため、後宮にとどめている花嫁候補の中から結婚相手を選べと宰相・俚韵(りいん)から責められていることにも苦悩している。憂鬱な日々の中、気晴らしに出向いた泰山(たいざん)で小人・紫翠(しすい)に出逢う。不思議な存在の紫翠から、霊符(れいふ)や妙に的確な助言を与えられることで緋逸は支えられ、二人の距離は近づいていく。
幾多の騒動を乗り切った緋逸は紫翠との会話から、監修国史(かんしゅうこくし)・彪之(ひょうし)や俚韵、筆頭貴族の次男であることに雁字搦めにされている大将軍・羲奎(ぎけい)との結びつきを思い出す。
そんな折、緋逸が拾った仔犬が甲戌(こうしゅつ)神将の仮の姿であることを花嫁候補・嬋玉(せんぎょく)から聞かされ、紫翠をさらっていった神将を追って泰山へ。そこで緋逸は紫翠から、これまでの騒動が来羅(らいら)の身体を乗っ取っていた神将の仕業であることを教えられ、豊饒石を所持しているが故、紫翠が神将に狙われていたのだと気づく。
神将との勝負に王が勝った後(のち)のこと。嬋玉の存在を疑わしく思っていた羲奎は、彼女を推挙した理由を俚韵に訊いてみた。俚韵は、嬋玉の母である婉麗(えんれい)夫婦に憧れていた過去を告白する。婉麗が不老不死の元璋の子を身籠ったのには絶対的な理由があるはずと仮説を立てて、元璋の子と王を廻り合わせようと画策したのだった。
豊饒石を返しに行ったまま行方不明となっていた父・泰元璋を捕まえた紫翠は、豊饒石を持たされた故の多くの苦労を訴えながら、六十年ごとに神将が目覚めるからくりを仕掛けた理由を父に問うてみた。
だが、返る答えはあやふやで。それは島の秘密なのだった。
遥か昔、天の使役神(しえきしん)である十二神将(じゅうにしんしょう)は、万物を創生するという豊饒石(ほうじょうせき)の所有権を巡って争った。この争いを見かねた仙人・泰(たい)元璋(げんしょう)は、十二神将と豊饒石を封じ込める。この封神(ほうしん)により六十年に一度目覚める一神将と鼎国(ていこく)の王は、豊饒石の所有権を争わねばならない。
六十年目の王となった緋逸(ひいつ)は、他に公子がいなかったというだけで王位を与えられたことに悩んでいた。王族と有力貴族の勢力を抑えるため、後宮にとどめている花嫁候補の中から結婚相手を選べと宰相・俚韵(りいん)から責められていることにも苦悩している。憂鬱な日々の中、気晴らしに出向いた泰山(たいざん)で小人・紫翠(しすい)に出逢う。不思議な存在の紫翠から、霊符(れいふ)や妙に的確な助言を与えられることで緋逸は支えられ、二人の距離は近づいていく。
幾多の騒動を乗り切った緋逸は紫翠との会話から、監修国史(かんしゅうこくし)・彪之(ひょうし)や俚韵、筆頭貴族の次男であることに雁字搦めにされている大将軍・羲奎(ぎけい)との結びつきを思い出す。
そんな折、緋逸が拾った仔犬が甲戌(こうしゅつ)神将の仮の姿であることを花嫁候補・嬋玉(せんぎょく)から聞かされ、紫翠をさらっていった神将を追って泰山へ。そこで緋逸は紫翠から、これまでの騒動が来羅(らいら)の身体を乗っ取っていた神将の仕業であることを教えられ、豊饒石を所持しているが故、紫翠が神将に狙われていたのだと気づく。
神将との勝負に王が勝った後(のち)のこと。嬋玉の存在を疑わしく思っていた羲奎は、彼女を推挙した理由を俚韵に訊いてみた。俚韵は、嬋玉の母である婉麗(えんれい)夫婦に憧れていた過去を告白する。婉麗が不老不死の元璋の子を身籠ったのには絶対的な理由があるはずと仮説を立てて、元璋の子と王を廻り合わせようと画策したのだった。
豊饒石を返しに行ったまま行方不明となっていた父・泰元璋を捕まえた紫翠は、豊饒石を持たされた故の多くの苦労を訴えながら、六十年ごとに神将が目覚めるからくりを仕掛けた理由を父に問うてみた。
だが、返る答えはあやふやで。それは島の秘密なのだった。
あなたにおすすめの小説
短編 お前なんか一生結婚できないって笑ってたくせに、私が王太子妃になったら泣き出すのはどういうこと?
朝陽千早
恋愛
「お前なんか、一生結婚できない」
そう笑ってた幼馴染、今どんな気持ち?
――私、王太子殿下の婚約者になりましたけど?
地味で冴えない伯爵令嬢エリナは、幼い頃からずっと幼馴染のカイルに「お前に嫁の貰い手なんていない」とからかわれてきた。
けれどある日、王都で開かれた舞踏会で、偶然王太子殿下と出会い――そして、求婚された。
はじめは噂だと笑っていたカイルも、正式な婚約発表を前に動揺を隠せない。
ついには「お前に王太子妃なんて務まるわけがない」と暴言を吐くが、王太子殿下がきっぱりと言い返す。
「見る目がないのは君のほうだ」
「私の婚約者を侮辱するのなら、貴族であろうと容赦はしない」
格の違いを見せつけられ、崩れ落ちるカイル。
そんな姿を、もう私は振り返らない。
――これは、ずっと見下されていた令嬢が、運命の人に見初められる物語。
侯爵夫人のハズですが、完全に無視されています
猫枕
恋愛
伯爵令嬢のシンディーは学園を卒業と同時にキャッシュ侯爵家に嫁がされた。
しかし婚姻から4年、旦那様に会ったのは一度きり、大きなお屋敷の端っこにある離れに住むように言われ、勝手な外出も禁じられている。
本宅にはシンディーの偽物が奥様と呼ばれて暮らしているらしい。
盛大な結婚式が行われたというがシンディーは出席していないし、今年3才になる息子がいるというが、もちろん産んだ覚えもない。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
行かないで、と言ったでしょう?
松本雀
恋愛
誰よりも愛した婚約者アルノーは、華やかな令嬢エリザベートばかりを大切にした。
病に臥せったアリシアの「行かないで」――必死に願ったその声すら、届かなかった。
壊れた心を抱え、療養の為訪れた辺境の地。そこで待っていたのは、氷のように冷たい辺境伯エーヴェルト。
人を信じることをやめた令嬢アリシアと愛を知らず、誰にも心を許さなかったエーヴェルト。
スノードロップの咲く庭で、静かに寄り添い、ふたりは少しずつ、互いの孤独を溶かしあっていく。
これは、春を信じられなかったふたりが、
長い冬を越えた果てに見つけた、たったひとつの物語。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。