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4-4.壁

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「後は、服と食器と……(ガサッゴソゴソッ)」

 あの人は多分貴族だ。所作や話し方からなんとなくそんな気がする。

「べつに貰っていっても良いよな?(ツメツメ)」

 転生してまで既得権益者の巣窟に飛び込むのはごめん被るからな。

「さて…(キュッ)」

 わたしも帰ることにしよう。

 あの人の話だと、ここから近くの人がいる町まではそう遠くないらしい。

「……町か。(テクテク)」

 服も手に入ったし、今度はそこまで行ってみようかな。

 そんな事を考えながら村の外へ……

〈(スァァァァッ)〉
「……ん?」

 辺りが大分明るくなってきたと思ったけど、村の外の方が明るい。まるで、村に何かの影が指してる様な……

「っ!?(クルッ)」

 そうして後ろへと振り返った。



〈ヒュォォォォォォッ〉
「!?」

 壁だ。とてつもなく高く広い壁がさっきの廃村とその一帯に影を落としている。

 薄暗くて気づかなかったとはいえ、まさか廃村の直ぐ真裏に、こんな壁があるとは思わなかった。

「(キョロ…キョロ……)」

 明らかに人の手が加えられて作られたそれは左の果ての山麓から右の地平線の先まで続いている。高さは高層ビルに匹敵するくらいで、よじ登って超えるのは難しそうだ。

「……(パチクリ)」

 前世で見た万里の長城みたいだな。明らかに、何かの侵入を拒んでいるかの様だ。けど、こっち側は猛獣どころか、生き物すらそんなに見かけないし、一体何を恐れているんだろう?

「…………」

 あの人は『壁』について言明していなかった。それは壁のこっち側に人が居ないということか…………もしかしたら、元々の住民達はあの壁の向こうにいるのかもしれない。

 そして、こっち側は何らかの理由で無人のエリアになったのだろう。

 災害?敵国との衝突?それとももっと強大な何かとか?いずれにしろ、壁から見てこっち側は不毛の地って事になる。

「……なるほどね。」

 もしそうなら、あの人たちがわたしを見て驚いていた理由もわかるな。

 そりゃあ驚くよね。無人のエリアの廃村に、こんな子供が居たら……

 てか、それだと昨日やってたわたしのアレって……………深く考えるのはやめよう。うん。そして忘れよう。うん。誰も居ないなら、誰も見てないって事だ。ノーダメージ、ノーダメージだ、うん。

 そうして、朝日と壁を背に足早に帰路を辿った。
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