京の都で没落姫君は黒髭大将に命を救われ、姫宮に人生を授けられる
時は、帝の御世も安らかなりし頃。武にも政にもすぐれ、「黒髭大将」と呼ばれる一人の男がいた。誠実で実直、しかし野暮と評されるその人が、ある日女を掠奪して自邸へ連れ帰った。
その女の名は雅子(なをこ)。かつては宮家の血を引く高貴な女王(親王の娘)であったが、家の没落により今は老女とただ二人隠れるようにして生きていた。
尊厳を奪われるようにして男のものとなり、老女に涙ながらに託され、黒髭の屋敷に迎え入れられた雅子。けれども黒髭は、ただ欲に狂う男ではなかった。彼は雅子を深く愛し、「掌中の珠」と呼んで離さなくなった。
やがて、宮中では「あの堅物の黒髭大将が、身分の低い女を囲っている」と噂が立つ。
かつて冷たいとまで言われた男が柔らかい眼差しを見せるようになり、その変化はついに帝の御耳にも届く……。
全十話です。
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