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第1章 『新感覚☆女の子も男の子も楽しめる乙女ゲーム』ってなんだ?

ここ、何処だ?

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「………ここ、は……?」

サワサワと囁くように揺れる音が心地良い。少しくすぐったい柔らかな感触に起こされた。目の前には、若芽の色をした草が揺れて、青葉の匂いが鼻を掠めていった。


「うぅ……っ?」

地面に強く打ち付けたようで、節々が痛い身体を起こした。目線が高くなって、広がった視界に映ったものに目を見張る。


「っ?!………えっ……?」


目の前に広がっているのは、美しい穏やかな草原だ。
清々しい爽快な香りに、サワサワと風の波で頭を揺らしては戻る下草。ポカポカとした日差しは、風も合間って昼寝に最適だろう。

ピロロクワーーっと変な鳴き声が上から聞こえたけど、鳥だろうか?鳥を見ようとしても、太陽の眩しさに目が眩んで見えない。


あれ……。
俺は、何でこんなところで眠っているんだっけ……??


最後に肌に感じた感触は、冷たいコンクリートの地面に、変に生ぬるい滑った感覚だったのに……。
思い出した途端、ヒュッと喉で息が詰まった。


「っ?!!!」


俺は確か、女性に腹部を刺されてそのまま……!!

身体にぞわっと悪寒が走る。俺を刺した女性の落ち窪んだ顔と、重い衝撃の記憶が身体に甦る。思わず服の上から脇腹に手を当てた。

 
「……あれっ?」

あれほどの激痛に見舞われていた腹部が、痛くない……。それに、俺に刺さったままのはずの包丁もない。

でも、あの一瞬にして灼熱が身体を沸騰させる防衛本能の極度の興奮。そして、その直後に襲った深く突き刺さる鋭い痛み。

……幻なんかじゃ、ないはずだ。


俺は、ゴクリっと喉をならしながら、恐る恐る服を捲って脇腹を露にした。


「っ?!!……これ……!」

お腹の部分には、生々しい傷跡が残っていた。ちょうど、包丁の刃が縦に刺さったくらいの傷が。あれは夢なんかじゃなくて、やはり現実だったようだ。


……だけど、それならどうして生きているんだろう??


先ほどついた傷のはずなのに、傷口は既に塞がっている。まるで古傷にも見えるし……。


ふと、服を捲り上げている手に違和感を感じた。……俺の手ってこんなに小さかったか?


それに、しっかりと自分自身を確認すると服装が明らかにおかしい。友人の家に行ったときは、Tシャツにジーンズのお恰好だったはず。

今着ている服装は、全身黒色の服だ。襟が高い長めのコートで隠すように、腰には双剣が鞘に収まっている。足元もスニーカーからブーツに変わっていた。


……なんだこれ?

そういえば、最近この服を見たことがあるような気がするんだが……。どこでだったかな……?


頭で状況が飲み込めない中で、穏やかな空気をつんざく甲高い悲鳴が聞こえた。


「うわぁぁぁぁーっ!!」

緊迫とした悲鳴に、俺は反射的に身体が動いていた。近くに鬱蒼とした森が見える。悲鳴はそこから聞こえてきた。


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